危機8言語の継承考える 与論でサミット 地域課題語る


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
言語の継承について報告、議論する登壇者=13日、与論町総合体育館

 【鹿児島県与論町で伊佐尚記】「2016年度危機的な状況にある言語・方言サミット(奄美大会)・与論」(文化庁、鹿児島県、与論町など主催)が13日、同町総合体育館で開かれた。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が消滅の危機にあるとした国内8言語の関係者が保存継承の取り組みについて報告、議論した。

 与論の言葉(ユンヌフトゥバ)による大会宣言では、土地の言葉が文化の多様性を形成するとし、全国の人に「共通語ん方言いんちけーるくらししゃーびらん(共通語も方言も使う生活をしましょう)」と呼び掛けた。八つの危機言語はアイヌ語、八丈語、奄美語、国頭語、沖縄語、宮古語、八重山語、与那国語。ユンヌフトゥバは国頭語に含まれる。

 与論町教育委員会の町岡光弘教育長らは小中学校での総合学習などを活用したユンヌフトゥバ教育を紹介した。子どもたちを指導している「与論民俗村」村長の菊秀史さんは「今の教育は小中学生中心で、45歳くらいからはユンヌフトゥバが話せる。その間の世代、青年層への啓発が必要だ」と指摘した。

 豊見城市教委の島袋幸司さんは教委が作成し、市内の全小中学生に配布した「豊見城市しまくとぅば読本」について報告した。「今後は市民が自らの地域で調査、継承に関わる住民参加型の辞典作りが理想だ」と述べた。

 狩俣繁久琉大教授は「言葉は多様であることを認め、自分の言葉と同じように他の地域の言葉も大切にするという教育が必要だ。どの学校の先生でもできる」と提案した。

英文へ→Efforts to preserve eight endangered languages discussed at summit in Yoron