ごみ焼却熱で温水 トマス技術研究所、中小企業庁長官賞


この記事を書いた人 新里 哲
九州地方発明表彰の中小企業庁長官賞を獲得した「サーマルチリメーサー」の前で、賞状を手にするトマス技研の社員=22日、うるま市

 無煙無臭の小型焼却炉の製造開発を手掛けるトマス技術研究所(うるま市、福富健仁社長)がこのほど、「廃棄物焼却炉の給湯温度制御装置」(製品名・サーマルチリメーサー)の発明で、2016年度九州地方発明表彰の中小企業庁長官賞を受賞した。ごみ焼却の廃熱を効率的に利用し、60度のお湯を毎時1500リットル供給できる熱交換システムを確立した。

 従業員8人の小さな町工場ながら、20代の若手技術者たちが特許開発に励んでいる。技術開発課の伊礼晴樹さんは「熱交換だけでなく、次は蒸気による発電システムも付与していく」と次の開発を見据える。

 トマス技研の小型焼却炉「チリメーサー」は、特許技術の燃焼技術で煙まで完全燃焼させ、ダイオキシンを法規制の50分の1まで抑制する。「サーマルチリメーサー」はこの焼却炉に給湯システムを付与した改良版で、稼働時に出る焼却熱を回収し、貯湯タンクの水を温める。センサーでタンク内の温度を計測して自動でお湯をかき回し、常に一定の温度に保つ仕組みが取り入れられている。

 製品を導入している南城市のコンクリート製造工場では、コンクリート養生に使う蒸気ボイラーにサーマルチリメーサーで温めたお湯を入れ、ボイラーの燃料費を抑えている。

 技術営業課の小幡浩さんは「風呂やシャワーのほか、寒冷地でのビニールハウスの加温など、廃棄物処理と燃料費削減を同時にかなえる仕組みとして普及を進めていく」と語る。