米海兵隊機、重大事故率2年連続増 10万時間に3.31件 16会計年度


社会
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 【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】2016米会計年度(15年10月~16年9月)の米海兵隊所属航空機の10万飛行時間当たりの重大(クラスA)事故発生率が3・31件で、2年連続で増加していることが16日までに米海軍安全センターの集計で分かった。クラスAは被害額が200万ドル以上や死者が発生した事故。前会計年度は3・29件だった。発生件数は、9月22日に沖縄本島東沖に墜落したAV8ハリアー戦闘攻撃機を含め8件だった。

 17会計年度では10月28日現在、既に4件の事故が発生、重大事故が頻発している。国防費の大幅削減による訓練や機体整備不足が影響しているとみられる。

 16会計年度の重大事故8件の損害総額は4億9030万ドル。飛行時間は計24万1628時間、3万228・5時間に1件の割合で事故が発生している。航空機の内訳はFA18ホーネット戦闘攻撃機、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ、CH53E大型ヘリ、AV8ハリアーとなっている。

 クラスAの重大事故発生率は同センターが公表している02年会計年度以降で、イラク戦争時の04年度が最も高く5・00件、04年度以降は減少傾向にあった。16年度は3番目に高い。米海軍所属航空機の16会計年度事故率は0・81件で、海兵隊の約4分の1だった。

 米国防研究所(IDA)でオスプレイの主任分析官を務めたレックス・リボロ氏は「海兵隊航空機は運用の特殊性から海軍より事故率が高い」と指摘。「回転翼機が海兵隊の主流であり、戦場環境にあることを考慮しても、この事故率は異常だ」と述べた。

 海兵隊トップのネラー海兵隊総司令官が3月の下院公聴会で「訓練するための航空機が不十分だ」と強調するなど幹部らは、国防費の大幅削減が機体の整備など運用面に深刻な影響を及ぼし、飛行訓練の不足を招いているとしている。

 今年1月に米ハワイ州オアフ島沖で発生したCH53Eヘリ2機による空中衝突墜落事故の調査報告書は、十分な訓練を行えないことなどによる操縦士の技量不足が招いた判断ミスが要因と結論付けた。