「山破壊で海が死ぬ」 反対決意強く漁師・山城さん


この記事を書いた人 金城 美智子
民間ヘリが資材を下ろした山を背に、自身が経験してきた沖縄の基地問題を振り返る山城善勝さん=14日、国頭村安波

■「山破壊で海が死ぬ」 反対決意強く漁師・山城さん

 高江で続いている米軍のヘリパッド建設抗議行動で14日、初めて抗議船1隻が出た。船長を務めるのは漁師の山城善勝(よしかつ)さん(72)。カヌーで宇嘉川河口へ上陸し、抗議活動へ出掛けた仲間を船上で待った。正午を過ぎると、空輸された資材の場所を目指して崖を登る市民が数人、船から見えた。「海は父。山は母。山が破壊されれば赤土が海へ流れ、どちらも死ぬ」。眉間にしわを寄せながら、仲間を見上げる。

 漁師になっておよそ50年。海でも「対」である山を守るため、ヘリパッド建設には断固反対を唱える。

 山城さんは1959年、通っていた石川中の2階から、火を噴きながら迫ってくるジェット機が宮森小に墜落するのを見た。本土復帰に憧れ、コザ騒動にも参加した。宮森小の事故から57年。「復帰前と比べて沖縄は悪くなっている。かつての敵は米国だったが、今は日本にも差別されている」。苦悶(くもん)の表情を見せる。それでも「勝利するまでは諦めないよ。今までの苦しみを忘れることはできない」。真っすぐに山を見詰め直した。(嘉数陽)

■抗議船初出航 宇嘉川河口からヘリ搬入に抗議

 東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する市民らは14日、「G地区」から訓練道でつながる宇嘉川河口付近を中心に36人で抗議活動を行った。市民らは民間ヘリが資材を空輸した場所を目指して崖を登り、訓練道の整備工事に抗議した。カヌー3艇が宇嘉川河口へ上陸した。

 同日午前10時半ごろ、宇嘉川河口に市民ら約30人が集結。資材が降ろされた場所へは歩行ルートがあるとされるが、機動隊が隊列を組んで阻止しているという。市民らは切り立った崖を散り散りによじ登り、空輸された資材が4カ所に降ろされたのを確認した。

 「G地区」から宇嘉川河口につながる歩行訓練道2570メートルのうち、まだ森林管理署の許可を得られていない恐れのある820メートル部分に資材が降ろされた可能性があるという。

英文へ→Fisherman Yamashiro: Destroying the forests will kill the ocean