人動かす対話、実践 コザ中で芸術表現講座 劇団員相手に“工夫”


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 【沖縄】生徒のコミュニケーション能力を育成する芸術表現講座が5日、沖縄市のコザ中学校で開かれた。「いかに人を椅子から立たせるか」を創作課題に、2年生の生徒が作戦会議を通じて「人の気持ちをどう動かすか」という難題に取り組んだ。

あの手この手で座った人を立たせようと工夫する生徒たち=5日、沖縄市のコザ中学校

 文部科学省事業として開講した講座で、2年生5クラスの生徒が受講した。講師は劇団「TEAM SPOT JUMBLE」のメンバーが務めた。

 生徒たちは、椅子に座り込んで「めったなことでは立つな」と指示された劇団メンバーに、あの手この手で立たせようと時間を制限された中で語り掛ける。

 しゃべれる人、しゃべれない人、リーダーと役割分担し、病院やバスの車内、学校内などステージを設定して、立たない人を立たせるために話術を工夫。お年寄りに扮(ふん)して席を譲るよう促したり、1人で弁当を食べる生徒との相席を求めたりと、考えられる限りのせりふやジェスチャーで挑戦した。

 劇団メンバーを立たせるのはなかなか難しく、成功したのは50チームほどが挑んで2例。釣りで大物がかかった設定で魚に体を持って行かれそうになる人を設定して危機感を演出した事例で成功したほか、合唱コンクールの演奏で皆が立って演奏しないと、練習の努力が報われないとの切迫感をあおって成功した事例があった。

 合唱コンクールの設定で成功した垣花一輝さんは「同じような場面が最近あり、ひらめいた。うまくいった時はうれしかった。今度はもっと簡単に立たせる工夫を凝らしてみたい」などと話した。