山川出版「集団自決」を追記 詳説日本史B、文科省に訂正申請


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 【東京】2017年度から使用される高校の教科書を巡り、3月の教科書検定時に沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)を取り上げなかった山川出版社の「詳説日本史B改訂版」について、同社が「集団自決」があったことの記述を追加する訂正をしていたことが30日までに分かった。

 文部科学省によると、9月5日に山川出版社から訂正申請が出され、同省は10月3日に承認した。訂正した内容では、コラムの沖縄戦に関する記述に「『集団自決』に追い込まれた人びとも含め」との文言が追加された。訂正理由について、山川出版社は「誤記」と説明している。

 沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)について、歴史教科書に日本軍による強制性を明記するよう活動している「9・29県民大会決議を実現させる会」は、「集団自決」や住民虐殺の記述が削除された高校教科書「詳説日本史B」を発行する山川出版社に対し、記述復活を求めてきた。

 同会の高嶋伸欣琉球大名誉教授は「まだ不十分だが、沖縄の世論で、一部でも大切な記述が復活された意義は大きい」とした。