地主許可なく湧き水から取水 大宜味村、年100万円の収益


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
村が区や地権者と契約せず建設した取水小屋=沖縄県大宜味村

 沖縄県大宜味村が同村上原区と正式な契約をしないまま区の土地に小屋を建て、湧き水を取水していた問題で、村は区だけでなく、土地を所有する地権者とも契約をしないまま無断で土地を使用していたことが分かった。村は今後、区と地権者に謝罪し、改めて使用許可を得られるように協議する考え。区と地権者の理解を得られない場合は、新たな水源地から送水する可能性もあるとしている。

 地権者の男性は昨年亡くなり遺族が代理人として対応している。遺族によると村は地権者に土地の使用承諾を求めたが、遺族は村の提示した金額に納得いかず土地の売り払いを拒否。正式な契約がなされていない状態で村は2013年6月、地権者に無断で取水小屋と金網、パイプを整備し7月から村内企業への送水を始めた。

 村の担当者は口頭では承諾を得ていたが、書類では契約していなかったと説明。「急いで無理なお願いをしたのは否めない」と不備を認めた上で「まずはおわびをして、土地を使用させてもらえるよう話し合いを進めたい」と話している。

 村は4300万円をかけて取水小屋やパイプを整備した。水を送水している村内3社から年間約100万円が水の使用料として村の収益になっている。地権者の遺族は「役場ならしっかりと対応すべきだ。何の連絡もなく放置していたことも許せない」と憤った。

 一方、上原区は原状回復をするよう村に求めており、11月上旬に開かれた区民常会で、村に原状回復を求める決議を全会一致で可決した。