「ユニホームデザイン任せて」障がい者 夢へ一歩 仲介オフィス発足


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 【沖縄】障がいのあるデザイナーと企業や個人を仲介する「障がい者在宅デザインオフィス沖縄」(豊見山真奈美代表)が沖縄市でこのほど発足し、障がい者の自立を目指し事業を展開している。同オフィスが企業や個人から受注したスポーツユニホームなどのデザインを、登録している障がいのあるデザイナーに発注し、制作費用を支払う仕組みだ。デザイナーで同オフィスに登録している四肢機能障がいがある瑞慶山良さん(23)=うるま市=は「活躍できる場ができてうれしい」と喜んでいる。

障がい者在宅デザインオフィス沖縄に登録し、デザインを作成する瑞慶山良さん(右)とアドバイザーの豊見山豪さん。画面上にあるのが瑞慶山さんがデザインしたユニホーム=2日、うるま市内

 幼いころから絵が好きだった瑞慶山さんは、デイサービスや泡瀬特別支援学校高等部、専門学校などで、デザイン制作に必要なコンピューターソフト「イラストレーター」の使い方を学んだ。特殊なマウスで操作して、デザインを制作する。作品が日本肢体不自由児協会が主催する肢体不自由児・者の美術展で優秀賞を獲得するほどの腕前だ。

 豊見山さんと瑞慶山さんが知り合いだったことがきっかけで、「-デザインオフィス沖縄」が発足した。イラストやデザインの作成が得意な瑞慶山さんが「デザインで稼ぎたい。そして自立して、家庭を持ちたい」と豊見山さんに相談。全国にも受け入れ団体や仕組みがなかったことから、豊見山さんが自ら立ち上げることを決意した。

 豊見山さんは「障がいがあっても、できることを仕事に生かす場をつくりたかった。特別支援学校などに通う障がい者の可能性も広がる」と意義を強調する。その上で「彼らのデザインは健常者にも負けない」と断言する。

 瑞慶山さんは「最初の給料で両親に何かプレゼントをしたい。いつも感謝している」と胸を膨らませる。「夢のまた夢」と思っていたデザイナーの仕事も現実味を帯びてきた。「将来は独立してアパレルのデザインを手掛けたい」と語った。

 障がい者在宅デザインオフィス沖縄は現在、NPO法人化に向けて設立準備委員会を立ち上げ、企業などを回り販路拡大に取り組んでいる。問い合わせは豊見山代表(電話)090(1331)3115。(安富智希)