国、年明け工事再開か 辺野古訴訟で沖縄県敗訴へ 最高裁、弁論開かず20日判決言い渡し


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 米軍普天間飛行場の移設計画で、沖縄県の翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を相手に提起した不作為の違法確認訴訟で最高裁第2小法廷は12日、口頭弁論を開かずに判決を今月20日に言い渡すことなどを県に伝えた。高裁判決の変更に必要とされる弁論を開かずに最高裁が上告審の判決期日を指定したことにより、福岡高裁那覇支部が言い渡した県の敗訴が事実上確定した。辺野古の新基地建設阻止を掲げる翁長県政にとって厳しい結果となり、今後の議論に大きな影響を与えるのは確実。国は判決を受けて、年明けにも埋め立て工事を再開する構えだ。 

 最高裁は12日、憲法違反を問う上告については棄却し、判例や法令違反を問う上告受理申し立ての一部についてのみ、20日に判決を言い渡すと伝えた。

 不作為の違法確認訴訟について翁長知事は「確定判決には従う」と明言しており、最高裁判決後にも埋め立て承認取り消しを「取り消す」見通しで、国が工事を再開する法的根拠が“復活”する。

 一方、翁長知事は敗訴した場合でも「あらゆる手法」で新基地建設を阻止する姿勢は変わらないとしている。県は仲井真弘多前知事による埋め立て承認後に発生した公益違反の事由に基づく「撤回」なども検討しており、米軍普天間飛行場の移設問題の行方は不透明な情勢が続く。

 不作為の違法確認訴訟の一審・高裁那覇支部は9月16日、翁長知事による承認取り消しは違法だとして、同取り消しの違法性の確認を求めていた国の主張を全面的に認める判決を出した。県は判決を不服として、同23日に上告していた。

 普天間飛行場の辺野古移設を巡っては、仲井真前知事が2013年12月27日に沖縄防衛局による埋め立て申請を承認。辺野古新基地建設阻止を公約に当選した翁長知事が15年10月13日に承認を取り消した。代執行訴訟での和解を経て、国は16年7月22日に不作為の違法確認訴訟を高裁那覇支部に提起した。