世界回る非日常空間 クルーズ乗船ルポ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
4層吹き抜け構造になっているロイヤル・プロムナード。カフェやバー、高級ブティックが軒を連ねる=ボイジャー・オブ・ザ・シーズ

 好調な沖縄県経済をけん引する観光客、とりわけ外国客の増加に大きく貢献している大型クルーズ船。琉球新報社によるマカオ、香港、沖縄を大型クルーズ船で巡る3都市経済視察団が9月25日から30日の日程であり、米ロイヤル・カリビアン・インターナショナル社の「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」に乗船した。テーマパークのような船内、そして非日常を味わえる船旅の様子をルポする。

 香港のクルーズターミナルで入管手続きを済ませ、ガラス張りの建物からビクトリア湾を望むと、大型の観光ホテルを思わせる豪華客船が目に飛び込んできた。総トン数13万8千トン、全長310メートル、全幅48メートル、全高63メートル。定員3840人。1999年の初就航以来、世界トップクラスのクルーズ船としてアジアを拠点に世界を回る。

 パスポートを乗員に預け、いざ乗船。外は「百万ドルの夜景」と呼ばれる香港の街並み。そして、一歩足を踏み入れると見たことがない世界が広がっていた。上質なじゅうたんに、きらびやかなシャンデリア。船内の中心には、高さ約130メートルの4層吹き抜け構造のロイヤルプロムナード(遊歩道)があり、カフェやバー、高級ブティックが軒を連ねる。通りは中国や韓国、オーストラリア、スイスなど多様な人種が集い、さまざまな言語が飛び交う。

 船内には、カジノやプール、ミニゴルフコース、ナイトクラブディスコ、スポーツバー、プールバー、シアター、美容室、フィットネス・エステルーム、スケートリンク、ロッククライミング施設、バスケットボールコートなどさまざまな施設がそろう。それらの施設では、アイスショーやマジックショー、コンサートなど多彩な催しが毎晩繰り広げられ、長い船旅を飽きさせない。

 朝、最上部にあるジョギングトラックを歩くと、少し湿気を含んだ心地よい海風が体を通り抜ける。眼下には穏やかな東シナ海が広がり、水平線がどこまでも続いていた。夜は、バーでウイスキーのソーダ割りを飲み、ディスコで汗を流す。ディスコで出会った40代女性=金武町=は沖縄から1週間の日程でクルーズツアーに参加した。「まるで夢の国みたい。友達4人と思い切って乗船したが、参加して良かった。とても楽しい」と笑顔を見せる。軽快なステップを踏み、非日常を楽しんでいた。
 (「挑む沖縄ブランド」取材班・吉田健一)