「北大東燐鉱山」国史跡に 文化審議会が指定答申


この記事を書いた人 新里 哲
北大東島燐鉱山遺跡内にある燐鉱石貯蔵庫跡=2016年4月

 国の文化審議会(馬渕明子会長)は18日、北大東村の「北大東島燐(りん)鉱山遺跡」を国の史跡に指定するよう、松野博一文部科学相に答申した。近く答申通り告示される。1919年から50年まで化学肥料の原料として重要視された燐鉱石を採掘した鉱山遺跡で、採掘、乾燥、運搬、貯蔵、積み出しまで一連の燐鉱生産施設が大規模に残る国内で唯一のもの。国の近代農業を支えた燐鉱採掘産業の歴史を知る上で重要と評価された。

 指定により、県内の国指定の史跡は40件になる。

 北大東島燐鉱山遺跡は、北大東島の西端部に位置する。史跡に指定されたのは採掘場跡がある区域と、貯蔵庫跡などがある区域の計約9万4149平方メートル。

 区域内には、採掘場跡、燐鉱石を運んだトロッコ軌道跡、貯蔵庫跡、積荷桟橋跡、船揚げ場跡などの生産施設が点在する。このうち燐鉱石貯蔵庫跡と「象の鼻」と呼ばれる積荷桟橋跡は、国の登録有形文化財となっているほか、周辺には旧東洋製糖北大東出張所などの登録有形文化財がある。

 北大東村教育委員会によると、現在は本格的な保存・整備は行われておらず、劣化も見られるという。同村教委は「次年度以降、保存活用計画を策定し、整備を進めたい。観光スポットの一つになれば」としている。