沖縄戦学び、未来考えて 本紙記者、甲府東高が平和学習


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沖縄戦を学び、平和について学びを深める山梨県立甲府東高校の生徒たち=8日、糸満市の県平和祈念資料館

 山梨県立甲府東高校2年生240人が8日、修学旅行で基地周辺や戦跡を巡り、平和について学びを深めた。県平和祈念資料館では玉城江梨子本紙記者が沖縄戦の概要や、戦争体験者への取材を通して感じたことを講演した。玉城記者は「私たちは過去の戦争に責任はなくても、未来の戦争への責任はある」と指摘。「なぜ日本が戦争に突き進んだのか、戦時下や戦後の暮らしを知ることで未来を考えるきっかけにしてほしい」と願いを込めた。

 生徒たちは夏ごろから、2015年発行の本紙沖縄戦70年特別号などを使い事前学習を重ねてきた。この日は嘉手納基地、普天間基地を隣接地から見学した後、3グループに分かれて南城市の糸数壕などに入り、戦時下に思いを巡らせた。

玉城江梨子本紙記者

 講演で玉城記者は、沖縄戦体験者の中には今なお戦争トラウマ(心的外傷)に苦しんでいる人がいる現状に触れ、「ヘリの音や基地の存在が、体験者の心の傷をさらに傷付けている」と語った。「どれだけ心が痛くても、つらい体験を語ってきてくれた人によって平和が守られてきた」と説明。「体験者から『戦争の準備が始まったら誰も止められないんだよ』と何度も聞かされた。過去を学ぶことが平和をつくることにつながる」と呼び掛けた。

 終了後、山崎望(のぞむ)君(17)は「体験者は基地があることで心の傷がえぐられると聞いて、当然のことだとあらためて気が付いた」と語った。長田泰典(やすのり)君は「僕らの世代には戦争を止める義務があるのだと思った」と述べた。