沖縄と本土の溝埋める 元大使の橋本さんら、「歴史認識考える会」発足へ


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
  橋本宏さん

 「琉球処分」(琉球併合)や沖縄戦、サンフランシスコ講和条約など沖縄の歴史を巡り本土の人々と沖縄県民の間にある認識の深い溝について議論する「沖縄県民の歴史認識を考える会」が22日、東京で発足する。2001年から3年間、元オーストリア大使で外務省の3代目沖縄担当大使を務めた橋本宏さん(75)ら3人が設立を呼び掛けた。同会は、政府と県が共同で「賢人会議」(仮称)を設置することを提案する。この会議で民間有識者が本土と沖縄の歴史問題を議論することにより、米軍基地問題への取り組みの基盤を作りたい考えだ。

 橋本さんは米軍基地による沖縄の負担は「物理的」と「心理的」の2側面あるとし、心理的負担は「歴史認識」問題だと指摘する。「政府と県の双方でそれを話し合い、すり合わせてきた経緯はなく、長年放置されてきた」と話す。

 このため、例えば辺野古問題では「県は『歴史認識』を重視し、政府は『実務的』立場を繰り返すといったように両者の対話は全くかみ合わない。それは今に始まったものではなく、在沖米軍基地問題を巡る『すれ違い』は長年続いている。政府と県の間の溝は深く、本土の人々にとって沖縄は心理的にますます遠い存在になってきている」と問題意識を語った。

 この状況を踏まえ、「考える会」は「賢人会議」の設立提案趣意書と会員名を政府と県に提案する。橋本さんは「歴史問題について本土と沖縄の有識者が真剣に議論することで、政府と県の間に『適切な距離感』が醸成され、歴史問題克服のための道筋が見えてくることを期待する。この基盤整備なしに政府と県が基地問題を是々非々の立場で対処することはもはや難しい局面に入っている」と話した。

 「考える会」は約20人でのスタートを目指す。その後は歴史の専門家かどうかは問わず、政治、外交、経済、歴史、芸術など幅広い分野で歴史認識に関心のある多くの人々から会員を募る計画だ。橋本さんは会員への加入を広く呼び掛けている。連絡先はGoiken.Okirekikai2016@gmail.com(新垣毅)