外国人観光客の緊急医療強化 沖縄県、コールセンター開設へ


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
外国人観光客らで込み合う那覇空港国際線旅客ターミナルビル=2月

 病気やけがをした外国人観光客への緊急医療が増加していることを受け、沖縄県文化観光スポーツ部は来年3月までに、医療通訳を支援する「インバウンド緊急医療対応多言語コールセンター」を開設する。

 コールセンターは県内医療機関や消防、観光関連事業者からの依頼に応じて、外国人客や付添人とのやり取りについて電話や映像で通訳支援する。来年2~3月に約2カ月の実証実験でコールセンターを運用し、先進事例の分析なども進める。

 沖縄を訪れる外国人観光客の急増に伴い緊急医療の発生も増加しているが、医療の専門用語などを通訳できる語学人材が各現場に不足している実態がある。

 県が実施する「インバウンド緊急医療対応多言語コールセンター」は実証期間の2カ月間、毎日24時間稼働する。言語は英語と中国語、韓国語を必須とする。コールセンターの設置・運営は民間に委託。観光関連の多言語コールセンターサービスの実績があることなどを条件に、企画提案を公募している。

 県は利用実績などを踏まえ、コールセンターをどのように継続していくかを判断する。実証実験ではコールセンター運営のほか、外国人客の緊急医療について現状と課題の調査も行い、今後の観光施策の展開につなげていく。

 現在、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は外国人観光客を対象に「多言語コンタクトセンター」を運営しているが、稼働時間は限定的で観光施設などの情報提供や、交通機関の案内などが主な業務となっている。

 県の担当者は「医療通訳は専門的なスキルが求められる。緊急医療対応多言語コールセンターの運営により、現場の需要などを把握していきたい」と述べた。
(呉俐君)