レジ係不足深刻 りゅうぎん総研聞き取り調査


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 外国人観光客の増加などを背景に個人消費が活発な動きを見せるが、現場の最前線となるスーパーなどでレジ係が不足している。県内企業の人手不足に関する聞き取り調査の結果をまとめたりゅうぎん総合研究所によると、とりわけ夕方から午後8時ごろにかけての時間帯で人手不足感が深刻化しており、各社とも賃上げやセルフレジの導入などの対応に追われている。中には職場環境の改善策として社員食堂の改装や高齢者の採用、業務のアウトソーシング(外部委託)を進める企業もある。

 各企業への聞き取りによると、長年、人手不足が叫ばれる小売業界の中でも、とりわけレジ係が不足する背景には、レジ係を務める非正規社員には主婦層が多いことがあり、夕方は子どもの夕飯や帰宅時間と重なる時間帯のため敬遠する傾向が強い。週末も同様の傾向で、さらに転勤などが多い3月に人手不足感はより深刻になるという。

 小売業の現場は、主婦層を含め女性が多い職場であることから、産休や育休、介護休暇制度の充実や企業内保育所の設置を求める声が多いという。

 沖縄振興開発金融公庫が四半期ごとに発表する人手不足感を示す雇用判断指数(DI)を見ると、小売業での人手不足は2012年末から始まっている。その後、14年4月の消費税増税前の駆け込み需要への対応などで一時急激に悪化、その後は一定程度緩和されたが、現在も含め人手不足感はますます強まっている。

 りゅうぎん総研は人手不足が恒常化した現状について「求職者が職場を選ぶ際の目線は厳しくなっており、働きやすさを感じられない職場は選ばれにくくなっている」と指摘。その上で「企業は賃上げだけではなく、働く社員の立場での待遇、職場環境の改善や投資などを実践していくことが求められる」と提言した。