就活熱心な学生ほど職場に定着 「キャリア教育重要」 沖縄公庫が調査、仕事の満足度も高く


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 充実した学生生活を送った人ほど内定率や定着率が高くなる-。沖縄振興開発金融公庫が実施した調査で働く若者の姿が浮き彫りになった。調査を主導した沖縄国際大経済学部の名嘉座元一教授によると、学生時代に企業研究など就職活動を熱心に行った人ほど、就職後も定着率が高く、仕事満足度も高い。その結果、「学生時代は『充実していた』と振り返る」という。

 沖縄公庫は22日、県内の若年層の雇用問題に対するアンケート調査結果をまとめた。アンケートで学校生活での充実度を聞いたところ「充実していた」と回答した人の87・5%が卒業までに内定を得て、40・1%が卒業後の就職先で現在も働いているとした。

 一方、「充実していない」と回答した人は卒業までに内定したのが12・5%で、就職したうち現在も最初の就職先にいると答えた人は24・4%と「充実した」人の6割にとどまった。

 名嘉座教授は「高校、大学時代をいかに充実して過ごすのかということと、在学中の職業意識の形成がいかに重要か明確になった。その意味でも学校教育でのキャリア教育の重要性は極めて高い」と指摘した。

 その上で、若年層の定着率の向上や雇用促進に向けて、教育機関と企業が一体となった人材育成やアルバイトとインターンシップを組み合わせた造語「バイターン」の積極的な導入などを提言した。

 若年層の離職率の高さは就業意識の問題だけではなく、低賃金で休暇制度が整わない企業側にも責任はある。沖縄労働局によると、沖縄県内企業の育児休業規定の整備率は全国平均より低く、定期監督違反率は全国平均より高い。

 1人当たりの労働時間も全国平均を上回っている。名嘉座教授は「企業側も定着率を上げるため、『ワークライフバランス』の推進など企業努力をしなければならない」と指摘した。

 調査は9月30日から10月5日にかけて、県内在住の20~39歳の男女を対象にインターネットを通じて実施。350人から回答を得た。