沖縄市のアフガン出身男性、「米軍狙いテロ」とデマ被害


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 【中部】23日夜、過激派組織「イスラム国」(IS)を支持するアフガニスタン出身の男性が北谷町美浜でテロを起こすとしたデマが、短文投稿サイトのツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)で飛び交った。拡散された投稿には沖縄市に住むアフガニスタン出身の中古車販売業、アフマド・ミラドさん(30)の写真が「IS支持者」として添付されていた。ミラドさんは24日、本紙の取材に応じ「テロを計画したこともないし、ISとも全く関係ない。なぜ拡散されたか分からずショックだ」と話した。ミラドさんは週明けに名誉を毀損(きそん)されたとして刑事告訴する方針。

「アフガニスタン出身というだけで判断してほしくない」と話すアフマド・ミラドさん=24日、沖縄市

 沖縄署は「書き込み自体は把握しているが、出所が正確でない。現在は年末の警戒強化期間で、通常通り警戒活動をしている」と答えた。識者は「デマを発信した人だけでなく、拡散させた人も共犯だ」と指摘した。

 ミラドさんは7年前に来日。2年前から沖縄に住んで中古車販売の仕事に就いている。

 投稿は23日午後7時以降、ツイッターで米軍基地内の売店などを運営するAAFES(エーフィス、米陸・空軍エクスチェンジサービス)が従業員に送ったとされる英文メールを転載する形で拡散された。日本語でも「イスラム国支持者が米軍関係者を狙いアメリカンビレッジ辺りでテロ行為を示唆している」などと書き込まれていた。添付されたミラドさんの写真は本人のフェイスブックの顔写真を無断転用したもの。800回以上リツイートされた投稿も複数あった。

 ミラドさんの友人で、同じボクシングジムに通う平良典之さん(24)=沖縄市=は「一緒に練習した仲間が危ない人のように拡散され悔しい」と話し、警察への被害相談に付き添った。ミラドさんと一緒に移住したムスタファ・ハッサンさん(20)=うるま市=も同行。「イスラム教やアフガニスタンへの偏見がある」と指摘した。

 アメリカンビレッジを管理する奥原商事の奥原悟専務取締役は「(デマによる)影響はまだ分からないがデマは困る」と懸念を示した。

 ネットのトラブルに詳しい全国webカウンセリング協議会の安川雅史理事長は「正しいと思って広めたとしても、デマを広げた人も共犯だ」と指摘。「なぜ発信者が情報を持っているのか、画像を持っているのかを考える必要がある。信ぴょう性を確かめなければならない」と注意を促した。

英文へ→Resident of Okinawa from Afghanistan falsely rumored as planning act of terrorism