県中学新人ハンドボール 沖縄東(男子)初の頂点 女子神森は11度目V


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 ハンドボールの第13回浦添市長杯争奪第44回県中学校新人大会決勝は14日、浦添市民体育館で行われ、男子は沖縄東が延長の末に神森を28-25で破り、初優勝を果たした。女子は神森が17-13で仲西を制し、6年ぶり11度目の頂点に立った。男女優勝チームは全国中学生選抜大会(3月・富山県)に派遣される。優勝チームをのぞく、男女それぞれの準決勝進出3チームは後日にリーグ戦を行い、上位2チームが九州大会(3月・福岡県)に推薦される。

◇後半に勢い取り戻す 男子・沖縄東

後半、シュートを放つ沖縄東の松堂聖也=14日、浦添市民体育館(大城直也撮影)

 沖縄東が延長戦の末に最大6点差のリードを覆し、中学ハンドボール王国浦添の牙城・神森をついに打ち破った。県大会初の決勝に進出した昨年9月の八重瀬町長杯では、神森に逆転負けした沖縄東。「必ずやり返す」(神里桂吾監督)と心技体を鍛え直した選手らは、創部初の優勝を手にした涙とともに、神里監督を胴上げして歓喜に沸いた。

 前半は、神森の幅広い攻撃に広げられた守備中央から何度も失点を許し、1対1のカバーも遅れた。攻撃では神森の3-2-1守備に苦しめられ、エース松堂聖也がシュート7本を決めるなど奮闘したが、沖縄東特有の全員で仕掛ける攻撃はかみ合わなかった。

 9-15で折り返したハーフタイム。「大丈夫だ。残り5分までに逆転できればいい」。神里監督の言葉に、後半は選手らが落ち着きを取り戻す。180センチの松堂と177センチの島袋道人が「神森の攻撃パターンが見えてきた」と壁を作り相手のロングシュートをはじくと、瞬発力のある隅悠大らの速攻につなげた。守備の連係により、GK上江田聖夏もセーブを連発した。

 マークされた松堂は守備を引き付け広くボールを回し、仲間の得点も演出。二枚看板の1人、島袋も要所でロングシュートを決めた。延長でも沖縄東の勢いは止まらず、神森のマンツーマン守備を切り崩した。

 夏の敗北以後、食トレで全員が体重を約5キロ増やし、守備を振り切るパワーを付けた。技術は、神里監督の兄である神里太氏が監督を務めるコザ高校の胸を借りて学んできた。3月には未体験の全国大会を迎える。155センチながら両エースを中心とした攻撃を展開したセンターの仲座慧は「神森戦を乗り切った力は全国にも通用する。全国優勝を目指す」と、笑顔の中に強い決意を見せた。(嘉陽拓也)

◇堅守速攻で逆転 女子・神森

後半、シュートを狙う神森の田場心晴(大城直也撮影)

 リードされても、守備から声を出し合って早めに相手の攻撃をつぶし、速攻につなげて逆転する。一致団結した神森が堅守速攻という定石を踏んだ勝ち方を表現し、全国の切符をつかんだ。主将の久場川かりんは「全国は身長の高い選手が多いが、一発で当たって止める守備で優勝を目指したい」と力を込めた。

 決勝の序盤、神森の3-2-1守備は早々に切り崩されて4点リードを許す。慶田花幸コーチは「攻守の相性が悪い」と、即座に横一線守備へ変更した。これが奏功した。早めの重圧とともに素早い連係で守備の隙をなくすと、仲西の攻撃リズムが崩れ、徐々に神森が主導権を握り始めた。

 全員が尻上がりに調子を上げる中、田場心晴は守備では相手エースを抑え、パスカットからの速攻につなげる。攻撃でも個人技やサイドとの連係で計7点を積み上げた。久場川と東江莉佳でセンターを入れ替え、前に攻める攻撃と、パス回しで広く攻める戦術も効果的だった。

 勝利へ大きく貢献した田場は「全員で守って攻める強い気持ちが優勝につながり、自分も狙っていたパスカットもできた」と、達成感に満ちた笑顔を見せた。
(嘉陽拓也)