沖縄「ゆったり旅」人気 富裕層向け 小規模宿泊施設が増加


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
隠れ家的な小規模宿泊施設「LIBEURI」(同施設提供)

 今帰仁村など本島北部を中心に1泊の客室単価の平均が4万5千円という高価格帯の宿泊施設がインターネットを通じて人気を広げている。大型リゾートホテルの建設が相次ぐ中、富裕層向けの小規模宿泊施設も増加している。沖縄の観光はこれまで、家族層が西海岸の大型リゾートホテルに宿泊し、ビーチなどで楽しむ形態が一般的とされてきた。ここにきて趣向の多様化が進み、大勢の観光客が集まる場所ではなく、観光地化されていない場所で「静かに何もせずゆったり過ごす」形態が人気を集めている。こうした需要に応えるのが富裕層向け小規模宿泊施設のようだ。

 米ハワイなどでフォトウエディング事業を展開しているエクシオジャパン(神奈川県、佐伯猛社長)は昨年5月に今帰仁村にあるわずか4室のプライベート型宿泊施設「chillma(チルマ)」の運営を開始した。夏休みなどの繁忙期はほぼ満室で、秋などの閑散期の稼働率も8割で推移してきた。

 佐伯社長は「日常を忘れ、大人のぜいたくな時間を過ごしてもらうため、今帰仁村を宿泊施設の拠点に選定した」と説明する。さらに「今後敷地内にチャペルの建設も進め、ラグジュアリーな大人のウエディングも実現したい」と述べ、取り込みを強化する方針だ。

 古宇利島で昨年3月に開設された宿泊施設「LIBEURI(リベウリ)」も3室だけを備えた隠れ家的な施設だ。神奈川県出身のオーナー染宮大樹さんはこれまで、毎年1回沖縄を訪れてきた。染宮さんは「古宇利島は観光地として認知されており、集客しやすいと思い、宿泊施設を整備した」と説明する。同施設は現在、40~50代の国内客が主要な客層となっている。「大型リゾートの建設が相次いでいる中、小さい施設が好きな人もいる。いろんな形で沖縄を楽しんでもらいたい」と述べた。

 小規模宿泊施設の増加の動きは、今後の沖縄観光の多様化の方向性を示しているようだ。(呉俐君)