読めますか? テーマは〈酉と酒〉です。

角樽

答え
つのだる
(正解率 50%)

角のような長い柄を付け、朱か黒に塗った祝儀用の酒だる。樽は酉の字を含むが、尊とも通じる。新成人諸君、酒は尊大にならない程度に飲みましょう。

(2017年01月10日)

選択肢と回答割合

かくだる 41%
かどだる 9%
つのだる 50%


丁酉

答え
ひのととり
(正解率 45%)

音読みでは「ていゆう」。2017年の干支(かんし=十干と十二支)を表す。十干は木・火・土・金・水にそれぞれ兄(え)と弟(と)を付けたもの。丁は「火の弟」つまり「ひのと」。なお「酉」へんに「丁」は「酩酊」の「酊」だ。

(2017年01月11日)

選択肢と回答割合

ていしゅ 15%
きのととり 40%
ひのととり 45%


答え
なお
(正解率 54%)

「ちょうど……のようだ」の意味で漢文に用いる。「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」は論語で中庸の大事さを説く格言。酒もほどほどがよい。

(2017年01月12日)

選択肢と回答割合

なお 54%
もろみ 16%
ちょこ 30%


酒林

答え
さかばやし
(正解率 22%)

杉の葉を球状に束ねて酒屋の軒先につり下げたもの。「杉玉」などともいう。なお酒の字の部首は「酉」。これは酒つぼの象形文字だ。

(2017年01月13日)

選択肢と回答割合

しゅりん 54%
さかばやし 22%
みりん 24%

◇結果とテーマの解説

(2017年01月22日)

この週は「酉と酒」がテーマでした。

酉年のえととしてしか現代では使われない「酉」の字ですが、部首など漢字の構成要素としては大活躍しています。特に「酒」。ということでこのテーマにしました。

ところで酉の部首名ってご存じですか。「部首ときあかし辞典」(円満字二郎著、研究社)によると「とり」「とりへん」「ひよみのとり」「さけのとり」「さけづくり」の五つが挙げられています。「ひよみのとり」とはどういうことでしょう。「大辞林」によると、「ひよみ」とは暦や十二支を指し、「ひよみのとり」は

①(「鳥」に対して)暦に用いる「トリ」の字。すなわち「酉」の字。
②〔「酒」の字の旁(つくり)から〕 酒のこと。

――とあります。

このように酒と密接にかかわる酉の字ですが、トリあえずは暦で今年の十干十二支である「丁酉」から。十二支は有名でも、十干の読みはなじみがないものが多いですよね。ちなみに「丁(ひのと)」は「火の弟」のことで、これに対する「火の兄」は「丙(ひのえ)」。これは幸か不幸か「丙午(ひのえうま)」で有名です。しかし「丁」の訓は読みにくいということがこの3択の結果にも表れています。そして「丁酉」の音読み「ていゆう」も難読です。

「酉」の音がユウというのは確かに分かりくいのですが、「猶予」の猶の字と同じ読みと覚えておけばいかがでしょう。「猶」の中に「酉」の字が含まれています。そこで「猶」の字を「漢字源」(学習研究社)で引くと「解字」欄にこうあります。

会意。酋(シュウ)は、酉(酒つぼ)から酒気が細く長くのび出るさま。猶は「犬+酋(長くのびる)」で、のっそりとした動物や、手足と体をのばす動物の意。転じて、のばすの意となり、そこまでのばしてもなおの意の副詞となる。

なお、読者から「酉と酒」というテーマで「猶」の字を選ぶ必要があったのか、という質問をいただきました。この解説を読んでいただくと、一見テーマと無関係に見える「猶」も語源的にはかなり関わりがあることがお分かりではないでしょうか。

さて、「酒」を使った語としては「酒林」を選びました。古い街並みの酒屋の軒先に下がっている不思議な球体を見て「これは何だろう」と気にかかっていました。後に「酒林」「杉玉」などという物だと知りました。奈良県の大神(おおみわ)神社が酒の神とされ、杉が神木であることからという由来があるそうです。正解率はこの週で最も低くなりましたが、酒好きではなくても風習や形状とともにもっと知られてよいと思います。


by Spiegel

「角樽」というと「角瓶」を連想する人も多いのではないでしょうか。この読みの回答で「かくだる」を選んだ方もそうだったかもしれません。「角瓶」はサントリーの商標です。そしてサントリーのウイスキーといえば毎年成人の日に広告が出ます。という理由で成人の日の翌日に「角樽」を選ぼうとしたのですが、「酉と酒」のうち「酒」がらみの字でしかないなあと思っていました。しかしよく見ると「樽」の中にもちゃんと「酉」が含まれています。以前から出題候補にはあったのですが、酉年の成人の日にちなんで出せてよかったと思いました。

蛇足の私ごとですが、出題者は毎日の飲酒がたたり健康診断で値が悪かったため酒を止められています。「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」ということを肝に(肝臓に)銘じる今日このごろです。

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