沖縄県教育庁、年度内に介入防止策 口利き対応で要綱


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 安慶田光男前副知事による教員採用試験への口利きと県教育庁幹部人事への介入問題に関し、平敷昭人県教育長は25日、県教育委員会に不当な働き掛けがあった場合の取り扱いを定める要綱について「早期に策定したい。来年度というわけにはいかない」と述べ、年度内にも策定する考えを示した。記者団に述べた。安慶田氏による採用試験への口利きなどを認定した24日の会見で「県民に疑念を抱かれることのないよう対応したい」と策定を表明していた。県外自治体の事例なども踏まえ、作業を急ぐ構えだ。

 県教育庁総務課によると要綱策定に向け、県外の事例など情報収集をしている段階で、「他府県では口利きを記録して、氏名などを公表するというやり方が基本のようだ。制度で口利きの防止や、教育行政の中立性を確保したい。なるべく速やかに実効性のある制度をつくりたい」とした。

 一方、安慶田氏は25日までに、口利きなどがあったと文書で証言した諸見里明前教育長を名誉毀損(きそん)で刑事告訴する方針を固めた。併せて損害賠償を求めて民事訴訟も提起する。口利きなど一連の疑惑は否定する。安慶田氏は26日、県政記者クラブで会見し、発表する。

 18、19の両日に県教育庁が行った1回目の調査時には諸見里前教育長ら当時の幹部5人全員が安慶田氏の口利きなどについて否定していた。

 22日に諸見里前教育長が提出した、口利きや人事介入があったとする文書をもとに、県教育庁が23日、再調査したところ、事実関係を認める複数の証言があったという。平敷昭人県教育長は24日の会見で、「働き掛けがあったと考えざるを得ない」と結論づけた。

 一方、安慶田氏は23日、「(疑惑により)県民に不安を与え、県政運営に混乱と停滞を招いた」として副知事職を辞職したが、関与については一貫して否定している。教育庁の疑惑認定に関し、安慶田氏は24日時点で「ノーコメント」と言及を避けていた。

 翁長雄志知事は24日の会見で「(事実関係を)安慶田前副知事に問い直したい。改めて調査に協力してもらうよう呼び掛けたい」と安慶田氏から事情聴取する考えを示していた。

 平敷県教育長は25日に県庁内で開かれた定例の部局長会議で一連の経緯について、参加した他部局長らに説明した。

 諸見里前教育長が県教育庁に提出した文書には2015年8月ごろの採用への口利きや、15年1月と16年1月の幹部人事への介入について、自身が副知事室に呼ばれ依頼を受けたことなど詳細が記されている。