那覇市、17避難所倒壊恐れ 未耐震化認識も指定


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 那覇市が2015年9月に決定した市内の指定避難所40カ所中17カ所で、耐震基準を満たしていないことが8日までに分かった。40カ所は全て公立小中学校の体育館。市の防災業務を担う市民防災室は指定避難所選定段階で、建築基準法上の耐震基準を満たしておらず、震度6から7の地震で倒壊の恐れがあることを認識していた。市民防災室は「(指定避難所の指定基準などを規定した)災害対策基本法に耐震性の有無に関する記述はない」と説明。市側の対応に誤りはないとの考えを示している。一方、自治体の防災対策などについて監督する内閣府は「地震で倒壊する恐れのある建物を避難所にすることはあり得ない」と指摘し、市民防災室の説明に疑問を呈した。

 那覇市内の指定避難所40カ所中、17カ所は1981年の建築基準法改正前に建てられた体育館。耐震性の有無やどの程度の揺れに耐えられるかは、耐震診断の結果で判断する。市民防災室は選定時、公立学校の施設を管理する市教育委員会施設課に体育館の耐震診断結果を確認しておらず、担当者は「いずれ耐震化されると思った」と話した。

 市教委施設課によると、耐震性が不足している17カ所中、12カ所はコンクリートの腐食具合や過去の修繕歴などを考慮し、耐震診断をせず改築することを決定。判断が難しい5カ所については同課は耐震診断を実施し、1カ所は改築、4カ所は補強工事することに決めた。

 工事はまだ実施されておらず、17カ所は耐震性が確保されていないまま現在も指定避難所となっている。

 81年の建築基準法改正前は、震度5程度の地震で倒壊しない強度が求められていたが、改正後は震度6から7の地震で倒壊、崩壊しない耐震強度の確保が義務付けられている。建設当時の法律に基づいて建築されていれば違法にはならない。

 市民防災室は1月から、耐震性が確保されていない指定避難所の付近に代替施設として指定先を変更することを検討している。
(嘉数陽、田吹遥子)

■ 那覇市内の耐震性が不足している指定避難所(体育館)
【改築予定】石嶺小、松川小、識名小、古蔵小、与儀小、神原小、開南小、天妃小、垣花小、高良小、宇栄原小、松島中、安岡中
【補強予定】城東小、松島小、壺屋小、小禄小