県産医療機器、中城発アジアへ 三鷹光器


社会
この記事を書いた人 志良堂 仁
三鷹光器が沖縄で最終製品に仕上げる高解像度手術顕微鏡システム「MM51/YOH」(三鷹光器のホームページより)

 宇宙ロケットや人工衛星登載用の光学機器を製造・販売する光学機器メーカー「三鷹光器」(東京都三鷹市、中村勝重社長)が、うるま市の国際物流拠点産業集積地域(中城湾港)の賃貸工場に、医療機器の製造拠点を整備することが10日までに分かった。那覇空港の国際物流ハブ機能を活用して中国や東南アジアへの輸出を見据える。4月以降に工場を稼働し、自社単独の「MITAKA」ブランド初の医療機器の海外進出を展開する。

 最大倍率77倍の超高倍率を可能にした最新式の高解像度手術顕微鏡システム「MM51/YOH」などの医療機器を沖縄工場で製造する。脳外科手術などで使用される同社の顕微鏡は、ドイツの光学機器大手ライカと業務提携して世界中で販売されるなど世界最先端の技術を有する。三鷹光器は沖縄進出を契機に自社単独でも海外輸出を手掛けていく。県内で製造する手術用顕微鏡は1台数千万円程度になる。

県の経済特区に進出した光学機器メーカー「三鷹光器」の工場=1月19日、うるま市の国際物流拠点産業集積地域

 沖縄の工場は東京本社や神奈川、静岡両県の各工場で生産した部品を集めて完成品を造る最終組立工場として運用する。賃貸工場の延べ床面積は1500平方メートル。初年度は社員数人程度だが、輸出拡大に合わせて工場設備や人員を拡充する考え。将来的には数十人~100人規模の部品製造拠点の整備も見据えている。

 中村実専務は「中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)と空路で数時間圏内でつながる沖縄の地理的優位性は魅力だ。経済成長に伴い医療技術が進歩するアジアでは、高性能な医療機器の需要が高まる。那覇空港のハブ機能を活用して海外展開したい」と語った。

 1966年に創業した三鷹光器は資本金1千万円。従業員約80人。年間売上高は30億円前後になる。同社は2015年8月、うるま市の県工業技術センター内実験棟に沖縄支店を開設して手術用顕微鏡の研究開発をしている。(宮城征彦)