読めますか? テーマは〈春の味覚〉です。

答え
こごみ
(正解率 75%)

山菜の一つでクサソテツの若葉のこと。巻いた若葉が、屈んだ(こごんだ)姿に見えることからの名という。

(2017年03月13日)

選択肢と回答割合

くこ 13%
こごみ 75%
ぜんまい 11%


木の芽田楽

答え
きのめでんがく
(正解率 77%)

木の芽とはサンショウの芽のこと。田楽は豆腐料理の一つ。木の芽田楽は豆腐を串に刺して木の芽みそを付け焼いたもの。田楽の料理名は田植えの際に踊った田楽法師の姿からきて、おでんの語源にもなった。

(2017年03月14日)

選択肢と回答割合

きのめたら 8%
このめだら 14%
きのめでんがく 77%


花菜漬け

答え
はななづけ
(正解率 43%)

菜の花の漬物。つぼみが少し黄ばんだものを塩漬けにする。京都の名産。円満字二郎著「漢和辞典的に申しますと。」によると、「菜」という字は料理全般を表すことがある一方で、アブラナを指すことも。たった1種類から料理全般まで自在に変わる。

(2017年03月15日)

選択肢と回答割合

はななづけ 43%
かなづけ 18%
はなづけ 38%


独活

答え
うど
(正解率 67%)

野菜の一つ。春の芽や茎をあえ、ほろ苦さを楽しむ。独活の名は「風なくして独りで活(い)く」の意という。春に独立する人を励ますような字だ。だが、大きくなると役に立たないことを意味する「独活の大木」という言葉もある。

(2017年03月16日)

選択肢と回答割合

どんこ 16%
うど 67%
どくだみ 16%


寒梅粉

答え
かんばいこ
(正解率 78%)

和菓子の材料の一つで、寒梅が咲くころ新米を粉にしたものという。和菓子の材料で、彼岸などの時に出る干菓子「落雁(らくがん)」にも使われている。

(2017年03月17日)

選択肢と回答割合

かんばいこ 78%
かんばいふん 20%
さむうめこ 3%

◇結果とテーマの解説

(2017年03月26日)


独活 by あおもりくま

この週は「春の味覚」。といってもいろいろありますが、今回は植物関係に絞りました。

ただし「寒梅粉」は和菓子の材料ですので特に春に限ったものではありません。「改訂調理用語辞典」(全国調理師養成施設協会編)によると

みじん粉を水にさらして乾燥させたもの。ウメの花が咲くころにさらしたものが良品とされるのでこの名がある。主としてらくがんなどの打ち物菓子に用いられる。

とあります。みじん粉? あのミジンコじゃないよなあ。そう思いつつ「みじんこ【微塵粉】」を引くと「蒸して糊化(こか)したもち米を乾燥し、細かく粉砕したもの」のこと。

これを使った「らくがん」は彼岸や盆の時期にスーパーでよく見かけます。梅の時期とあわせ「春の味覚」のテーマで出してもいいかと思いました。結果的にこの週で正解率が最も高くなりました。

次に1ポイント差で正解率が少なかったのが「木の芽田楽」。「このめでんがく」を選択肢にするとかなり割れたことが予想されましたが、広辞苑第6版は「このめ」の見出し語で

②山椒(さんしょう)の芽。きのめ。

とあるので「このめでんがく」と読んでも間違いといいにくいと思い断念しました。ただ「大歳時記」(集英社)の「木の芽和」の項には

「きのめ」は山椒だが、「このめ」といえば、ほかの木の芽のことになり、混同しやすい

とあるように、違いにこだわるものもあります。ですからサンショウの「木の芽」は「きのめ」で、一般的な「木の芽」は「きのめ」とも「このめ」とも読む、と覚えていた方がよいでしょう。

さらに微差で「屈」。普通は仮名で書く割に高率です。広辞苑の「こごまる」の語釈は「背中を丸めてしゃがむ」とのこと。正式名クサソテツよりも何倍かすてきなネーミングです。

「独活」の和名は「語源海」(杉本つとむ著、東京書籍)によると「土の中に〈うづくまっている〉ところから」の名。「こごみ」と相通ずるものがありますね。

ツイッターの反応では「婚活」の逆かと思ったというものがありました。なるほど、「就活」など何にでも「活」を付ける風潮からいえば、独立する活動の意味でそういう造語ができていても不思議ではありません。

ちなみに「ボトムズ」という書き込みもありました。1980年代のアニメ「装甲騎兵ボトムズ」の舞台の一つが「ウド」という都市だったことからですね。何とマニアックな。

今回最も正解率が低かったのは「花菜漬け」。これは意外でしたが、以前から最も素直な読みが低くなる傾向はありました。その言葉を知らないと、漢字クイズという性格上、ひねった答えが正解だと思う人が多いようです。

なお「角川俳句大歳時記」の「花菜漬」には素直で味わい深い句が多くとられていますが、二つだけ紹介しましょう。

人の世をやさしと思ふ花菜漬(後藤比奈夫)

退職の日やほろにがき花菜漬(愛原節二)

春は曙光、夏は短夜 季節のうつろう言葉たち

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