虫除けキャンドルには効果無し! 蚊除け製品の効果を科学的に検証した結果

ニューメキシコ州立大学の研究チームが、各種殺虫剤、レモンユーカリ精油、ハーブ使用のキャンドルやブレスなど蚊除け製品の効果を検証した。
虫除けキャンドルには効果無し! 蚊除け製品の効果を科学的に検証した結果
PHOTO: GETTYIMAGES

ニューメキシコ州立大学の研究チームは、最も効果がある除け製品を見つけるため、パティオで涼みながら蚊に刺される危険を再現する科学的実験を行った。

『Journal of Insect Science』誌に発表されたこの研究では、一般的な11種類がテストされた。実験の結果、忌避剤として一般的に使われるディート(DEET)入りの製品や、ピレスロイド系殺虫剤「メトフルトリン」を内蔵ファンで拡散させるクリップ留めのウェアラブル式蚊取り器、レモンユーカリ精油入りスプレーは効果があったが、シトロネラキャンドルやハーブブレスには効果がないことがわかった。

研究チームは、3区画に分かれた虫かごを風洞に設置し、風速2mの風を送った。実験方法は以下のとおりだ。まず、血に飢えたネッタイシマカ50~125匹を真ん中の区画に入れ、風上と風下の区画に移動できるようにした。そして、虫かごの1m風上に、おいしい「餌」である人を配置した(なお、ヴォランティアの実験協力者は、おいしそうな匂いを蚊が嗅げるように、実験前の15時間は入浴しないよう指示された)。しばらくしてから、研究チームは全区画を封鎖し、餌に向かっているかどうか、蚊の分散具合を集計した。

IMAGE BY RODRIGUEZ ET AL

陽性対照では、88.8パーセントの蚊が餌に最も近い区画に集まったが、餌がない陰性対照では、風上の区画に集まった蚊は17パーセントにとどまった。

続いて研究チームは、餌である人間に、ブレスやウェアラブル蚊除け器、スプレー、シトロネラキャンドルなど11種類の蚊除け製品を試した。効果が高かった製品は以下のとおり(効果が高かった順)。

  • メトフルトリンを噴霧するウェアラブル蚊除け器「OFF! Clip-on」。27パーセントの蚊しか、風上の区画に入らなかった。引き付けられる蚊は約70パーセント減少。
  • レモンユーカリ精油入りスプレー「Cutter Lemon Eucalyptus」。29.6パーセントの蚊しか、風上の区画に入らなかった。引き付けられる蚊は約67パーセント減少。
  • ディート含有率98パーセントのスプレー「Ben’s Tick & Insect Repellent」。33.7パーセントの蚊しか、風上の区画に入らなかった。引き付けられる蚊は約60パーセント減少。 音波を利用した個人用蚊除けグッズや、シトロネラキャンドル、ハーブ入りのスプレーやブレスは、ほとんど効果がなかった。

研究チームは、ジカウイルスなどの実際の脅威があるなかで、効き目がない製品に消費者が安心していることがあれば問題だと述べている。


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TEXT BY BETH MOLE

TRANSLATION BY MINORI YAGURA/GALILEO