iPod touchで客が直接セルフオーダーする飲食店向けシステム


ITOS
http://www.it-ordersystem.jp/

 業務用厨房機器を扱うタニコーら3社は、iPod touchをセルフオーダー端末に用いて、来店客が直接オーダーする居酒屋・レストラン版のセルフオーダーシステムを開発・販売すると発表した。

 タニコーが「ITOS」システムの開発と販売を手掛け、iPhone/iPodシリーズのアクセサリメーカーのフォーカルポイントコンピュータが「ITOS」でオプション提供される専用のiPod touch用ケースの製造を担当。このほか、「ITOS」では来店客に端末装置を渡して客が直接注文を入力するというファインフーズ株式会社のビジネスモデル特許(特許第3505492号)を採用している。

音声での確認や案内が特徴、体験デモアプリも用意

 「ITOS」は音声機能を活用する点を特徴としており、来店客がカウンターでiPod touchを受け取り、着席し、初期画面をタッチすると「いらっしゃいませ。ご来店ありがとうございます」という音声が出て、画面でシステムの使用方法が案内される。メニューに沿ってオーダーすると、「生ビール中5個。ご注文でよろしいですか」と音声で確認する仕様になっている。しばらく注文がないと、音声で追加オーダーを勧める機能も備えるという。

 タニコーは、「ITOS」のiPod touch/iPhoneで動作するデモ版アプリを、アプリ名「ITOS」でApp Storeでの無償ダウンロードにより公開している。オーダーシステムを利用するためには、ホスト機となるMac Bookへオーダーを送信する必要があるが、Mac Bookへつながるのはあらかじめ設定した店舗の端末のみとなる。このため、App Storeでダウンロードしたアプリはあくまで体験版としての利用に制限され、実際のオーダーなどはできない。

iPod touchのメニュー画面伝票画面。出ていないオーダーも確認できるオーダー画面

市販機器を使うことでシステム導入コストを低減

 システム導入費用については、iPod touchが1台1万9800円、Mac Bookが1台9万8800円、Mac Bookのソフト代が10万円、ソフトインストール代が3万円。iPod touchは1卓に1台の利用を想定している。ITオーダーシステム(ITOS)の使用料が1店舗あたり月額5千円。落下時のショックや水濡れから保護するフォーカルポイントコンピュータ製の特製カバーケースはオプションで1台2280円で提供する。また、盗難防止用アラームセット、キッチンプリンター、フォーカルポイント製のiPod touch用充電台などもオプションで用意する。

 タニコーによれば、従来型のセルフオーダー端末では、卓に据え置き型のタイプでは設置工事が必要となるなど導入コストが高額となる、モバイル型のセルフオーダー端末は1台の単価が高額なほかメニュー印刷が必要となり手間がかかるなどの問題点があった。「ITOS」のシステムでは、現在使用しているレジスターやPOSシステムを一切変更する必要がないため、従来型のセルフオーダーシステムに比べ、約5分の1程度の費用で導入可能だという。

 外食産業機器ではこれまでメーカー各社が独自インターフェイスを採用したため高価格になっていた。タニコーでは、今回のiPod touchでセルフオーダーするシステムは市販の機器を使用しており安定供給が見込めるほか、インターネットを介して外部のサーバーへデータを送ったりすることも可能で、ネットレジやPC周辺機器と完全互換性があるため、iPod touchをさまざまな形で組み合わせてシステム構築が可能だとしている。

 タニコーでは、今回の居酒屋・レストラン版のほか、今後はレンタルビデオやファーストフード店での混雑回避用、デパートでのコンシェルジュサービスなどで業態別にソフトを販売していく考えだ。

(工藤 ひろえ)

2009/10/28 06:00