人は目覚めると忘れてしまうだけで、寝ている時はいつも夢を見ている、といいますけど、ほんとうのところはどうなんでしょうかね。覚えていないながらの僕は、実はどんな夢を見ているんだろうか? 起きても覚えている夢とは何が違うのだろうか?
夢というのは、ちゃんとした名詞として存在するくらいだから、その存在は広く認知されているわけですけれど、かといって確かめる術がこれほどないものもありません。もし、夢を見る人がごく少数だったら「ほんとかよ?」ってな類いに扱われているべきものです。幽霊を見たとか、UFOをみたとか、みたいに、いや、幽霊やUFOは写真などがあったりしますが、夢はそれすら存在しないですから、もっと「たわごと的」なものになってしてもおかしくない。なのに幽霊やUFOよりも存在が市民権を持っているのは、要するに、「オレはこういうモノを見た」と言い出す人が多いおかげ。つまり、報告数、ということです。
かつてこんな経験があります。
ある日、風邪が流行りはじめた季節ですが、朝おきたら、なぜかクビがいたい。ちょうど寝違えたような痛みが2日ほどつづいたのです。寝違えるなんてこと、滅多にないのにおかしいな、とは思ったけれど、それ以外に首が痛い理由が他に見当たらないからそう思うしかない。会社にいつてその話しをしたら、「へぇ、実は僕も先週クビを寝違えたばかりですよ」と後輩がいうんです。「ちょっとした偶然だね」、とその話しは終わったのですが、それにしても奇妙な偶然といえなくもない。で、好奇心で、「最近クビ寝違えたことない?」と他の周囲の同僚に聞いてみたんですね。そうしたら、あとふたりほど、同様の者がいた。
「ははん、これはきっとウィルス感染による症状だぞ」とおもい、まだ風邪を引いていない後輩数名に、「おまえ、そのうちクビを寝違えるから気をつけろ」と無責任な未来宣告をしたら、数日後そのひとりが「寝違えました」といってくる。ビンゴ、と思うけれど、不思議そうな表情を彼らにこの根拠のない話しをどう説明したらいいものやら。
この件の真相はわからないままだけれど、実は、ちゃんど言明されていないだけで、そういうことって僕らの周囲にたくさんあるんじゃないかな。
これまで「突然死」として片付けられてきた中高年の睡眠中の死亡事故、実はそのほとんどがいわゆる「無呼吸症候群」によるものということが最近判明してきたそうです。無呼吸というのは、ようするに「いびき」、の親玉ですね。ですから最近、「いびきをかく」というのは危険な徴候と考えられるようになってきたようです。体調不良で医者にかかると「いびきはかきますか?」と聞かれるのもそのせいでしょう。
この「症候群」という言葉、英語でいうとシンドロームですが、この言葉が意味するものというのは、「原因が不明だがどうもあちこちで報告されている現象」、といった意味です。そう言い出す人が多くなり、そして専門家なんかが調査を開始し、何らかのきっかけでその原因が解明されると「病気」などに格上げ改称されるわけです。
その意味で、「夢をみる」といわれているこの現象、これはその原因なんてなかなか解明する人はいませんけれども、もしなにかの不都合と関係がみつかったら「症候群」とよばれることになる。そしてその因果関係が発見されようものなら、なにかの症状ということになる。そうなると「まずいよ、オレ、最近、よく夢を見るようになってきた」なんて事になるのかもしれない。
私たちが「なんとなく」見過ごしている、理由は不明だがごくごくあたりまえのこと、も、そこに他の事との因果関係がみつかったとたん、大きな意味を持ってくるわけです。知識とか医学とかいうものは要するに、こういう些細な観察を積み上げたものなわけですから。ま、こんなへ理屈をプログに書いていることそのものも、ただの夢戯言のひとつみたいな話しですけれど・・。
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