ヤフオク出品物などに! 200円で驚くほどきれいな静物写真が撮れる、和尚式商品写真撮影ボックス

※2011年5月、さらに低価格化した新バージョンを公開↓
費用10円時間10分。コピー紙3枚だけで劇的に綺麗な小物写真を撮る方法

ライティングボックス作成編

小物の撮影するならこれでキマリ。材料は2つだけで、合計300円。

  • 100円ショップ謹製、模造紙(100円で5枚入り。2枚も使わない)
  • 100円ショップ謹製、園芸用トンネル支柱(U字型) こんなやつ

百聞は一見にしかず。まずは撮影した写真をみてほしい。8000円程度で売っているレンズ(EF50mm F1.8 II)に、入門用のデジタル一眼レフEOS Kiss X3で撮影したものだ。明るいレンズじゃないとダメ、なんてことはまったく無い。EXIF見てもらえばわかるが、作例は全てF10等まで絞って撮影しているからだ。*1

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作り方は超かんたん10分作業。トンネル型支柱2本を90度重ねて上部を針金か何かで束ねる。自立することを確認したらフレームに模造紙を張り付けていく。撮影する面と下面を除いて、上面、左右面を適当にセロテープで貼って行く。ここで注意したいのは、どの面から見ても紙の厚みが一定にすることだ。1枚だけの厚みですべてそろえるのが望ましい。右面は2枚がさねだが、左面は1枚のみ・・・という感じになってはいけない。正直なところ、見栄えはセロテープだらけの"汚らしい紙かご"程度で十分だ。重要なのは各面が模造紙1枚だけ隔てて外界とつながっていること。

最後に、背面の紙から前面にむかってバージンロードのように紙を垂らす。後ろのほうを丸めて上のほうまでせり上げるのがポイントだ。これをやることで、背面部だけは紙が2枚がさねになってしまうが、問題ない。

ただそれだけかというと、それだけなのである。この謎の紙製かごを日光が燦々と降り注ぐ庭やベランダ、窓際に置いて撮影してみてほしい。びっくりするほどきれいな静物写真が撮影できるはずだから。

完成形はこんな形だ。このサイズで見てもセロテープが見えてしまっているが、撮影には全く影響しないので気にしないようにw トップから白熱灯を当てているが、太陽光下で撮影するとよりナチュラルになるので試してみてほしい。

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ちなみにメディア各社にも掲載をいただいているCEREVO CAMの写真もこのショボイドームで撮影したもの。そこまでひどくはないでしょう? ちなみに自前撮影になった経緯は、大企業ではないので撮影におカネがかけられなくて...という一面もあるにはあるが、予約開始までの間にプロカメラマンに撮影してもらうに値する奇麗なモックアップを手にいれられなかったためだ。後日ちゃんとしたものに差し替え予定、である。

撮影編

撮影にあたってのワンポイントテクニックは紙籠の中を撮影した写真でマニュアルホワイトバランスを設定すること。この手続きさえ踏めば、太陽光だろうが蛍光灯光だろうが白熱灯光だろうがお構いなしにきれいな色が出ている写真が撮れるはずだ。

  • まず、中に何も入れずに紙籠の中だけを撮影する
  • カメラの取扱説明書を読み、マニュアルホワイトバランスの設定方法を調べる
  • 先に撮影した紙籠の中だけを撮った写真をマニュアルホワイトバランス設定用ファイルとして適用する
  • カメラの設定をマニュアルホワイトバランスにする

続いて撮影に移る。カメラは必ず三脚に取り付け。さらにマニュアルフォーカスとし、ライブビューで対象を限界まで拡大してピントを合わせる。絞りはF10以上に設定する。で、セルフタイマーをセット。5秒以上の秒数が望ましい。三脚に取り付けても思った以上にカメラは動く。ライブビューで10倍表示ぐらいにすればよくわかるはず。

で、最後に露出補正を+1〜+1.5程度かける。これで白い紙がグレーではなくほぼ真っ白に飛ぶので、女性誌の写真等でよく見るハイキーな写真となる。尚、被写体が真っ黒なものの場合、露出補正はなしか0.3程度で十分だ。

あとはシャッターボタンを押してセルフタイマーが効くまで待つだけである。

F10以上まで絞ると三脚が無いとうまく撮影できなくなってしまうが、これは商品写真の広い範囲でピントが合うようにするため大事な設定。幻想的な写真を撮るには不向きだが、静物のディテールまで写しこむにはこの設定が適切だ。

技術的解説

静物撮影の基本は影を消す、または薄くすること。で、表面への光源などの映り込みなどをなるべく減らすこと。そのためにはどうしたらいいか? というと、より均等に光が当たるようにし、一点に集中して強い光が来ないようにすること。で、プロはこういうことのためにソフトボックスやアンブレラといった機材を使って「光の拡散」を起こす。

そこを模造紙で代用してやったのがこの静物撮影ボックスというわけ。実際、ボックスの中に頭を突っ込んで上を見上げてみるとよくわかる。四方八方から光が差し込んできて何ともまぶしいのだが、注視したら目が焼き付きそうな、電球を直に見るような目つぶし感を感じないはず。朝の光が差し込む障子を眺めている風、とでも言おうか。均等に明るい感じなのである。

例に出した写真は『全体的に明るい』感じだったかと思うが、この"光の均等感"が「全体的に明るい」感じをうまく出してくれるのである。ただ強い照明を当てるだけではこういった感じは出ない。むしろ強い影が出てしまうので、影の部分を暗いと感じてしまうのだ。メガネの写真を見てもらうとわかるが、普通にこのメガネみたいな立体物に強い照明を当てると、影が出まくるのは想像に難くないだろう。フィギュア写真の首まわりなども同様だ。

四方八方から紙によって分散した光を当てることで全体的に影を減らし、ソフトな感じで明るさを出すことができているから、こういった写真を撮影することができるのである。

尚、最後に出てくるゴルゴ13 デューク東郷の写真だけは、あえて影のある雰囲気を出すために照明を左からだけ当てている。それでも顔の真ん中あたりに暗部と明部の境目となる線が見えていないのは、撮影ボックスの模造紙による拡散効果によるものである。

おまけ

光の当て方を工夫するとこんな写真も撮れる。
youken

あと、何撮っても妙に格好よく映るのでついつい変なものを撮ってしまう。

IMG_9678エイトフォー

IMG_9684セメダインC

IMG_8647ショドウフォン(一部限定ネタw)

あと、ブックマークコメントやTrackback等で『普通のデジカメではどうなのか?デジイチじゃないとだめなのか?』というご指摘があったので手元にあった普通のコンパクトデジカメを使い、今回の撮影キット(紙籠)で撮影した写真も掲載しておこう。使用デジカメはCoolpix S10。買った時点で二万円切ってたような、3年落ちのコンパクトデジカメである。

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さすが鶴屋さんコンデジでもお変わりない美しさです。ちなみに左側写真と右側写真では光源の位置と露出補正数値だけ変えて雰囲気を変えています。



ちなみにお金はあるが時間がないという方には、ちゃんとした専用商品が出ているのでそちらを買いましょう↓
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*1:最後の鶴屋さんだけ、TAMRON 90mm F2.8を使い、F16ぐらいまで絞って撮影している