「差異化の重要ポイントはITインフラストラクチャにある。Windows7は、OfficeやSharePointなどのアプリケーションに最適なプラットフォームだ」--。Windows&Windows Live担当プレジデントのスティーブン・シノフスキー氏はこう強調する。社内PCは古くても良いと考えることは危険信号だとも言う。(聞き手は玉置亮太、谷島宣之=日経コンピュータ、写真は中島正之)

多くの企業はXPを利用し続けている。企業にとってWindows 7を導入するメリットは。

(写真:中島正之)

 Windows 7はパフォーマンス、信頼性、セキュリティ、生産性とどれをとっても本当に素晴らしいOSだという自信があります。なぜなら、Windows 7はお客様からいただいたぼう大なフィードバックを分析して改善を重ねてきて開発されたからです。

 Windows 7の新機能には、USBメモリー暗号化の「BitLocker To Go」や拠点のファイル利用を支援する「BranchCache」などがあります。また、IT管理者がWindows 7を迅速に展開できるように支援するデスクトップ管理ツール群「Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP)」も提供しています。

IT管理者はWindows 7の良さを理解するかもしれないが、投資の決断を下す経営側の幹部に、Windows 7の利点をどう説明するのか。

 まず、どんな企業に対しても差異化の重要なポイントはITインフラストラクチャであるとお話しします。ITインフラ上で、お客様に対してどのようなサービスを提供し、コミュニケーションをどう取るかというのが課題になります。

 Windows 7は、Office 2007やOffice 2010、SharePointなどのアプリケーションを利用するのに最適なプラットフォームです。そして、こうしたアプリケーションは、インフォメーションワーカーにとっては不可欠な道具となります。

 例えば、家を建てるとしたら、そのために最適な道具が必要になります。100年も前の古い木製道具を使いたいとは思わないはずです。これと同じように、最新の技術や機能を搭載したWindows 7を導入することが、インフォメーションワーカーの生産性向上に大きく貢献できるはずです。

日本の企業の多くは、コストを抑えるためにもパソコンをできるだけ長く使いたいと考えている。むしろ、今使っているパソコンで十分だと考えている企業も多い。

 そうですね、実際にIT部門の方から「社内のパソコンは今のままで十分だ」と聞くことがあります。そんなときには、私はいつも彼らにこう尋ねています。「あなたが今使っているパソコンは何ですか」と。というのも、IT部門の人たちはたいていの場合、最新のパソコンを利用しているのにもかかわらず、社内で利用するパソコンは「古いマシンで十分」と言うのです。私はこれを危険信号ととらえています。

(写真:中島正之)

 IT部門がコスト削減や標準化を進めていくなかで、最新のパソコンが必要ではないと言う場面にたびたび遭遇します。IT部門では最新のパソコンを使っているにもかかわらずですよ。でも、私たちの目的はIT部門に常に最新のパソコンを使い続けてもらうことではありません。

 我々が目指しているのは、Windows 7を様々な環境で利用してもらえるようになることです。もちろん、企業が一晩のうちにすべてのパソコンをWindows 7に切り替えてくれるとは思っていません。新規にパソコンを購入するまではOSをアップグレードしない企業もあるでしょう。それ自体は理にかなったことだと思います。

 マイクロソフトが提供するActive Directory、グループポリシー、その他の管理ツールは、Windows 7でもVistaでも9年前に開発されたOSであるXPでも問題なく動作します。Windows 7を使うために新たにパソコンを購入しなければならないと言うつもりはありません。