【5月27日 AFP】米アップル(Apple)のタブレット型PC、iPad(アイパッド)が28日、日本でも発売される。

 携帯電話機がきわめて高度な進歩をとげ、ボタンひとつでメールの送受信やテレビ視聴はもちろん、ペットの餌やりやお風呂の水ためまでできてしまう日本では、アップルの携帯電話アイフォーン(iPhone)はあまり売れないだろうという予想もあったが、アイフォーンは人気を集めた。iPhoneの大型版ともいえるiPadについても発売前からさまざまな見方が飛び交っている。

■「iPhoneへの抵抗感が消え、iPad登場の機は熟した」

 調査会社、MM総研(MM Research Institute)の最近の調査によると09年度、iPhoneは日本で売れたスマートフォンの72%を占めた。日本の携帯電話市場全体におけるスマートフォンのシェアは約5%にすぎないが、iPhoneの状況はiPadにとっても幸先がよいとアナリストらはみる。

 iPadについては「電話がかけられない大きめのiPhoneで何ができるのか」といった否定的な見方もあったが、メディアがiPhoneを好意的に取り上げるにつれてiPad登場の機も熟したとMM総研のアナリストは解説する。

 米国ではiPadはすでに100万台を売り上げ、アップルのオンラインショップ「App Store(アップストア)」からは1200万本を超えるiPad向けアプリケーションがダウンロードされた。

■日本市場独特のハードルとは?

 しかしiPadは日本独特のハードルに直面しそうだ。日本の大手メーカーの携帯電話にはiPhoneにはないクレジットカード機能や電子マネー機能などを搭載しているものがあるため、携帯電話とiPhoneを両方持っている人もいる。そこへ3台目の端末を持とうと思う人はあまりいないのではないかという指摘がひとつある。

 また、どのようなコンテンツを利用できるかも重要だ。東京のITコンサルティング会社、ユーロテクノロジー・ジャパン(Eurotechnology Japan)のファーソル・ゲルハルト(Gerhard Fasol)氏は、日本では今も新聞が強く、インターネットを使ったビジネスモデルの採用は非常に遅いと指摘する。

 日本の新聞発行部数は1999~2009年の間にわずか6%しか減っておらず、日刊紙は5000万部以上を維持している。ただし雑誌の発行部数は同じ期間に3分の2に落ち込んだ。MM総研のアナリストは「日本の出版業界はiPodの登場で様変わりした音楽業界を念頭に置いているはずだ」として、漫画や旅行情報がiPadで提供される可能性を指摘する。

 ゲームもiPadにとって有望なジャンルだろう。iPhone向けのゲームを手掛けた会社にはiPadに関心を寄せているところもある。しかし、携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」を擁する任天堂(Nintendo)の岩田聡(Satoru Iwata)社長は2月、iPadは「iPod touchが大きくなっただけ」と語っている。(c)AFP/Kimiko de Freytas-Tamura