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 今日は、久しぶりに国会議員会館で開かれた院内集会に参加した。
テーマは昨年から取り組み続けていた児童ポルノ禁止法案についてだった。会場は、ぎっしり満員で50名以上がかけつけた。テレビカメラも含めて取材陣も10数名入っていた。永田町でこのテーマで議論と言えば「規制派」のみなので、画期的な催しだった。民主党の現職国会議員も6名が参加、今後活発な議論を続けていくことを表明した。

山口貴士弁護士の司会のもと、最初の報告者である上智大学の田島先生の話は、次の様な内容だった。

「単純所持・取得罪」は本当に必要か(田島泰彦・上智大学教授)

 表現の自由の観点から3つの話をしたい。①「児童ポルノ法」と「改正」の基本的な問題は何か。②「児童ポルノ法」の改正がありえるとすれば、超党派でという可能性が高いので、昨年の国会での「与野党修正協議」が手がかりになる。③民主党中心の連立政権下での、民主党の対応について。

①「児童ポルノ」という名称自体の問題もある。「児童ポルノ」はとんでもないので、規制するべきという世の中の流れがある。しかし、「表現の自由」の問題や「思想・信条」「創作の自由」との大きな関わりがある問題だ。

「児童ポルノ」と言われているが、現行法にはいわゆる「児童ポルノ」に該当していない部分が含まれている。いわゆる「3号ポルノ」の定義が曖昧である。「性欲を興奮させ刺激する」と条件にあるが、いわゆる「ヌード」も「児童ポルノ」とされてしまうことを確認しておく。諸外国よりは、ずっと幅広い。そこに加えて、「単純所持」の法規制が語られている。この法律が成立すると、警察による規制はどのような実態になっていくのか。

 主要メディアの対応は、どうか。記者個人は別として、「児童ポルノ」について規制は当然ではないかという論調であり、これに対して問題点や批判を語ること自体がおかしいというトーンではないか。「児童ポルノだから」「子どもだから」という言葉を前提に語るのは、たいへん危険だ。戦前の言論・表現規制が始まったのは「エロ・グロナンセンス」に対してだった。そこから、やがて「思想・信条・表現の自由」の大幅な規制に踏み込んでいった。

②「与野党協議」については、昨年の解散前や年末にかけて改正法提出に動きがあった。完全な形では公表されていない。「3号ポルノ」は残して微調整。「単純所持規制の導入」。これは、罰則なしの努力規定から始まることで合意。努力規定と言っても法律に書かれることの意味は大きい。「単純所持罪」についても導入する。(いろいろな制限は設けているが)「創作物規制」についても別の法律で対応するとしている。これは、解散前の「自民・公明」案に近い。

③民主党案にも、問題の「火種」になる部分がある。「3号は削除」はいいが「2号」にかなり幅広い規定を残している。本来の「ポルノ」の枠より広いという問題。「取得罪」は「有償・反復して」という定義も掘り下げる必要がある。政権交代も起きたのだから、民主党案も、ふたたび検討・検証をしていただきたい。

 次に「創作物規制がもたらす危険性について」を明治大学准教授の森川嘉一郎さんが語った。さらには「現場から見た児童保護施策の必要性」を弁護士の杉浦ひとみさん、「インターネット上の児童ポルノ情報への閲覧規制について」を東京大学大学院の中川譲さんが続けて語った。私は途中で退席してしまったが、森川さんの話は面白かった。内容は、明日以降に続けることにする。


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