米アドビシステムズは、同社のDTPツール「InDesign CS5」とWeb解析ツール「SiteCatalyst」の機能を連携させ、電子雑誌内の広告ページにおける閲覧時間などを測定する機能を今秋から米国で提供する見通しを明らかにした。米アドビのデジタルパブリッシンググループ責任者、ニック ボガティ氏は「例えば、電子雑誌の読者が広告ページをどんな順番で閲覧し、それぞれどの程度の時間閲覧していたか、などのデータを収集して分析可能になる。出版社の広告営業の在り方を大きく変えることになるだろう」としている。

 SiteCatalystはアドビが2009年に買収した旧・米オムニチュアのASP(ソフトの期間貸し)型Webサイト解析サービス。「SiteCatalystがWebで収集できるようなデータを、InDesign CS5で制作した電子雑誌上でも計測可能にする」(ボガティ氏)としている。

 アドビのInDesign CS5は主に紙の雑誌制作用に販売されているDTPツールで、電子雑誌のDTPツールとしても機能強化を進めている。2010年5月下旬に発売されたiPad向けWired誌6月号の制作にも使われた。Wiredはアドビ独自のファイル形式で制作・販売されたもので、この形式の公式サポートやビューワー配布をこの夏に開始すると6月1日に発表したばかりだ。

 SiteCatalystとの連携は、その次の電子雑誌関連の機能強化になる。米アドビのボガティ氏によると、汎用的なファイル形式であるePubを採用した電子雑誌でも閲覧時間などを収集・分析可能になる見込みという。当面のターゲットは電子雑誌を手がける出版社が中心だが、カタログ冊子の電子版を制作する通販会社からの引き合いなどにも期待している。利用に際してはInDesign CS5とSiteCatalystのライセンスのほか、SiteCatalystとのデータのやり取りに対応する専用のビューワーが必要になる模様だ。

 一方、国内でのInDesign CS5とSiteCatalystの連携については、「米国での対応時期が決まったばかりなので、これからユーザーのニーズを調査して対応時期を検討したい」(アドビ システムズ日本法人)としている。