スポーティなハンドリングや6速MT車の存在を大々的にアピールするなど、普通のハイブリッドカーとはちょっと違う、ホンダの『CR-Z』。しかし、開発責任者である本田技術研究所主任研究員の友部了夫(ともべのりお)さんは「単なるスポーツカーではない」という。
「クルマの開発はスポーツカーを作りたいというマインドの中でおこないました。だから、スポーツカーと呼んでいただいて構わないと思います」
「しかし、パワーだけを求めてハイパワーエンジンを積んで、大量にガソリンを消費する。そういった方向性とはまったく異なるスポーツカーです」
「インテリジェントでエコも意識した、新しい時代の新しい価値観のスポーツカーにしたかった。ハイブリッドなので、燃費に優れる。それでいて軽量でキビキビ走れる。そんな新しさをCR-Zに込めました」
CR-Zに採用されているメカニズムのひとつに、「3モードドライブシステム」がある。これはパワートレイン、EPS、エアコンを統合制御し、スイッチを切り替えることで走りの味を「SPORT」「NORMAL」「ECON」の3段階に切り替えるものだ。記者には、このスイッチの存在がCR-Zのキャラクターを端的にあらわしているものに思える。
普段は「ECON」にしてエコドライブを実践、時には「SPORT」にしてスポーツドライビングを堪能。スイッチを切り替えると同時にドライバーの気持ちを切り替え、エコとスポーツを1台で両立するのがホンダの考える新しいスポーツカー像なのだ。