予測は予防につながるのか?
3月2日、東北大学大学院医学系研究科と東北大学脳科学グローバルCOE共同発表。同大学院医学系研究科神経内科学分野の武田篤准教授、馬場徹医師らのグルーが、嗅覚検査によってパーキンソン病における認知症発症を予測できる事を明らかにした。
パーキンソン病患者には認知症を合併しやすいことが知られているが、嗅覚検査を行うことで認知症の早期診断・早期治療が可能になると期待される。この研究成果は、国際科学雑誌「Brain」に掲載された。
(嗅覚検査によってパーキンソン病における認知症発症を予測)
この研究は、文部科学省グローバルCOEプログラム(脳神経科学を社会へ還流する教育研究拠点)、科学研究費補助金の支援を受けて行われた。
(嗅覚検査によってパーキンソン病における認知症発症を予測)
パーキンソン病における認知症の早期診断・早期治療に期待
武田篤准教授(神経内科学分野)らのグループは、これまでもパーキンソン病における嗅覚障害について研究テーマとして取り組んできた。今回の発表は世界初。
おおかたのパーキンソン病患者は、その経過中に認知症を合併することが明らかとなり、大きな問題となっている。ドパミン補充を主たるターゲットとする現在の薬物療法はパーキンソン病の運動機能障害の改善に目覚ましい有効性を示すが、認知機能障害を含む多彩な非運動症状に対しては無効である。
パーキンソン病の予後を最も大きく左右するのが合併する認知機能障害の程度であることが明らかとなっている以上、パーキンソン病治療には、認知症の早期発見と治療介入の方法論を確立することが急務となっているが現在のところパーキンソン病における認知症発症を早期に予測する指標はなかった。
この研究によって嗅覚検査がパーキンソン病における認知症の早期診断・早期治療あるいは予防が可能となり、予後の改善が計られるものと期待される。
東北大学
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2012/03/press20120302-04.html
嗅覚検査によってパーキンソン病における認知症発症を予測
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/HP_tohokuuniv-press20120302_04.pdf