ニコニ・コモンズ クリエイター奨励プログラムに関する情報まとめ
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目的別もくじ
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サービスの概要が知りたい
→ ニコニ・コモンズとは何か
→ 素材ライブラリーとは何か
→ コンテンツツリーとは何か
→ クリエイター奨励プログラムとは何か -
サービスの現状が知りたい
→ サービスの現状と運営の対応 -
何故知問題視されているのか知りたい
→ 現在起こっている問題と今後起こりうる問題 -
他サービスと比較したい
→ 現行他サービスや有償コンテストとの違い -
外部の権利者の立場から知りたい
→ 外部の権利者が取れる対応と考えられる問題 -
現状に対する対案を知りたい
→ 現行システムへの疑問と要望
→ 結局何が問題であると考えられるか -
もっと情報が欲しい
→ 参考リンク集
ニコニ・コモンズとは何か
- 素材ライブラリー
- コンテンツツリー
- クリエイター奨励プログラム
現在ニコニコ動画アカウントを持つことで利用できる上記のサービス・システムを擁するユーザ間の二次創作推進サイトである
成り立ち
- 2008年8月に「素材ライブラリー」「(コンテンツツリーの前身である)コモンズツリー」を擁する「ニコニコ動画の素材庫」として発足した
- 2011年12月に新サービス「クリエイター奨励プログラム」を発表・コモンズツリーのコンテンツツリーへのバージョンアップ等を含んだ大幅なサービス見直しが行われた
補足
- ニコニ・コモンズ利用者は成年か法定代理人の同意を得た14歳以上の未成年に限られる
素材ライブラリーとは何か
サービス概要
利用者が自身の著作物である画像・音声・映像データを素材として利用条件を設定・公開することで他の利用者がそれをダウンロードして指定の条件下で利用できるサービスである
設定できる利用条件(★:デフォルト設定)
- 営利利用に関して
├ ★無償で可
├ 非営利のみ可
└ 別途許可が必要 - 利用範囲に関して
├ ★ニコニ・コモンズ対応サイト(ニコニコ動画及びニコニコ静画)に許可
└ インターネット全体に許可
特徴
- 利用者は投稿者と一切のやり取りなく素材を入手・利用できる
- 投稿者は任意のタイミングで利用条件の設定を変更することができる
- 利用条件変更の時期・内容は記録・公開されておりその内容は変更後に公開される作品にのみ及ぶ
補足
- JASRACのように著作物(この場合素材)の権利を信託され管理・行使するサービスではない
- クリエイティブ・コモンズ同様自らの素材の権利を一部オープン化する「意思表示システム」である
- クリエイティブ・コモンズと違い法律に基づいたライセンスではなくユーザ同士の合意にのみ基づくガイドラインである
- 運営事務局は権利的なトラブルに際して一切の法的責任を負わず当事者間での解決を基本とする
- 素材を削除せずに退会(アカウント削除)すると以後の素材の削除は不可能になる
- 素材の登録後1週間は投稿者本人でも削除不可能である(急ぐ場合は運営に問い合わせ)
- 権利侵害への通報は権利者本人からのみ行える
コンテンツツリーとは何か
システム概要
ニコニコ動画・ニコニコ静画及びニコニ・コモンズ素材ライブラリー内で投稿者が投稿作品の元となった「親作品」を指定することにより派生作品の一覧化を図るシステムである
2008年発足時から2011年までのニコニ・コモンズ素材ライブラリーが擁していた「コモンズツリー」機能の適用範囲をニコニコ動画・静画にまで拡大・発展させた機能である
補足
- コンテンツツリー登録は同時に「自身の作品の改変・二次利用を含む二次創作の許可表明」となる
- 親指定された作品の作者は通知によって子作品の追加を知ることができる
- ツリーには親作品−子作品以上の概念は存在しない(祖父母や孫作品といった概念は存在しない)
- 親作品は複数指定可能である(親となった作品は全て指定するのが望ましい)
- 親作品の指定は任意のタイミングで変更・解除が可能である
- 親子関係の指定は子側から一方的になされ親側が子を指定することはできない
- 親作品が望ましくない子作品との親子関係を削除・以降の親指定を作品およびユーザ単位でNGできる「勘当機能」を2月中旬に実装予定→2月21日実装(参照)
- 「オリジナル作品表明」を行うことで親を持たずにコンテンツツリーに登録することができる
- 「オリジナル作品表明」を行っていない作品やDL数0のコモンズ素材も親指定可能である
- ツリーへの登録はあくまでも自由意志であり強制されるものではない
クリエイター奨励プログラムとは何か
サービス概要
プレミアム会費の一部(総額約4億円)を原資とし、これをニコニコ動画・ニコニコ静画及びニコニ・コモンズ内のプログラム参加作品に対し人気度に応じてニコニコポイントまたは現金化可能なスコアとして分配するプレミアム会員向けサービスである
プログラムへの参加条件
- プレミアム会員であること
- 素材ライブラリまたはニコニコ動画・ニコニコ静画に素材または作品を投稿していること
- 投稿作品にコンテンツツリーの設定があること(自身の作品に対する二次創作を認めること)
- クリエイター奨励プログラム参加規約およびニコニコ動画利用規約に同意していること
スコアレート
- 1点=1ニコニコポイント=1円
- スコアは10点以上でニコニコポイント化・10000点以上で現金化可能
スコア確定までの流れ
- スコアは作品毎に投稿の月から計算を開始・1ヶ月ごとにほぼ確定し4ヶ月目頭に付与される
- 点数の確定・付与までは予測受け取り点数が表示される
- 点数付与までの3ヶ月間は権利審査期間である(期間に法的根拠はなし)
- 3ヶ月の間に権利侵害の発覚や削除があった場合該当作品のスコアは0となる
- プログラム参加から3ヶ月以降に作品が削除されても既に付与されていたスコアは残る
クリエイター奨励スコア交換の詳しい流れについて
補足1
- 一定以上の点数が貯まった作品は厳しくチェックされ問題が発覚すると該当作品のスコアは0となる
- コンテンツツリー上の親作品には子作品の人気に応じた点数が「子供手当」として還元される
- 子供手当は子作品のクリエイター奨励プログラム登録可否に関わらず付与される
- 所有する点数の有効期限は1年間である
- 原資は一定であるため参加作品数の増加に従って分配される点数は減る
- 一度プログラムに登録した作品はその後の登録解除は不可能である
- 一度プログラムに登録した作品は1年以上公開されなくてはならない(自主削除・非公開化自体は可能だが規約上不可とされている)
- スコアを現金に換金できるのは企業・団体を除いた個人のみである
- 作品のプログラムへの参加・不参加はユーザ保護のため公開されない
- 親作品に対する子ども手当は子作品のプレミアム参加可否・プログラム参加可否に関わらず計上される
補足2(規約に記載無し)
- 人気度の計算法は工作防止のため公開されない
- 高額奨励スコア受取ユーザに対しては運営が個別に連絡を取り、権利の所在を確認してからスコアの付与を行う
サービスの現状と運営の対応
利用規約とシステムの乖離
質問 − 1月16日(月)
- 素材ライブラリーコンテンツツリーにおいて子作品が親作品よりも緩い利用条件を設けることは規約上禁止されているがシステム上可能なのは3年以上運用されているサービスで問題ではないのか
回答 − 1月19日(水)
- 利用条件の設定は投稿者の意思表示であるため制限は設けていない
- 権利者からの申し立てがあれば対応する
その後
いつの間にか素材投稿ページに
「※ 親作品の設定がある場合は、必ず親作品の利用条件をご参照ください」
という一文が追加
- 仕様であるためシステム側での対応はしないが注意を呼びかける形に
- よって子作品が親に従った利用条件設定を行っているかは親側で確認する必要がある
著作権問題への対応
現状著作権侵害が明らかな例を挙げてのニワンゴへの質問・回答まとめ(※下部にもリンク有り)
「ニコニ・コモンズ」「クリエイター奨励プログラム」についてニワンゴ社への公開質問状 — Togetter
回答
- 窓口が違うので運営方針については回答できない
- 著作権侵害作品について自主的に対応しない(権利者側が申し立てるのを待つ)
- 権利者以外からの通報にも対応しない(システム上通報手段がない)
- 権利侵害した投稿者には権利者からの損害賠償請求・司法によって刑事罰を受ける可能性がある
- 権利保護のための積極的な情報発信を取り組もうと考えている
- 具体的には啓発コンテンツの充実化・インフォメーションページ・公式生放送や各種イベントなどで施策を検討する
補足
- 権利保護の為の啓発活動についてを除けばほぼ規約通りの回答である
親子関係のループが可能
Photo: …信じられないことに、ニコニ・コモンズにおいては親作品が子作品をそのまた親作品に指定できるそうです。 無限ループ (講談社文庫) http://t.co/4mwqO8L9
2012-01-22 21:57:43- 現在システム上親作品が自身からの派生作品を親作品として指定することが可能となっている
- クリエイター奨励プログラムにおいては自身の作品から新たな派生作品を投稿しても子供手当は計上されないが複数のプレミアムアカウントを所持することで同一人物が自身の作品の子供手当を受け取ることは可能である
ライセンスなのかガイドラインなのか
米国生まれのクリエイティブ・コモンズに対し、ニコニ・コモンズは法闘争などを好まない「より日本的な手段」(木野瀬氏)とのこと。クリエイティブ・コモンズが法律に基づくライセンスであるのに対し、ニコニ・コモンズはユーザー間の合意によるガイドラインに過ぎないとも言う。ニコニ・コモンズとクリエイティブ・コモンズはどう違う?--ニワンゴ取締役が解説
- 上記に寄ればニコニ・コモンズは意思表示システムでありガイドラインである
- しかしニコニ・コモンズとは・ニコニ・コモンズ利用規約他複数の取材記事で素材の利用条件を「ライセンス」とする表現が見受けられる
ライセンス:それが存在しなければ違法となる行為をすることを許可すること あるいはその許可を称する書面
ガイドライン:ルールやマナーなどの決まり事・約束事を明文化しそれらを守った行動をするための具体的な方向性を示すもの
悪質な権利侵害ユーザへの対応
-
クリエイター奨励プログラムについて
また、権利侵害を含む規約違反については、悪質と判断した場合、法的措置も含めた厳しい対応をいたします。ニコニ・コモンズによくいただく質問と回答(FAQ)Q7 − 2月6日追記 -
法的措置の内容は不明
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どの程度の侵害状況であれば措置対象になるかは不明
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多くの場合ドワンゴ及びニワンゴが権利侵害の被害者となる訳ではないことから恐らくは不適切な作品を用いた奨励金(スコア)の詐取という名目になるのではないかと思われる
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現時点でドワンゴ及びニワンゴがユーザを訴訟した例は見られない(権利者→ユーザのみ)
現在起こっている問題と今後起こりうる問題
ニコニコ関連サービス全体について
無断転載などの著作権侵害の横行
- 投稿者以外の第三者が権利を有している作品の投稿はニコニコ動画はじめ関連サービス全体で禁止されているがドワンゴ・ニワンゴ共に権利者からの申し立て・証明が行われない限り対応しないため現在多数の規約違反素材・作品が確認できる
素材ライブラリ・コンテンツツリー・クリエイター奨励プログラムについて
権利侵害者による権利の乗っ取り被害発生の危険性
- ニコニ・コモンズ素材ライブラリで最も厳しい利用条件は「ニコニ・コモンズ関連サイト内での非営利利用のみ許可」である
- クリエイター奨励プログラム参加条件にはコンテンツツリーへの登録と共に「自身の作品の改変利用許可」が含まれている
- 従って素材ライブラリ作品及びコンテンツツリー設定のある作品は全て投稿者によって「(投稿者自身が権利者であるか否か・権利を乗っ取る意図の有無に関わらず)作品の一部またはほぼ全ての権利を開放する」意思表明が行われていることになる
- ただしコンテンツツリーに関しては「子が親を自由に指定できる」システム上「オリジナル作品表明」を行っていない作品でも「子側が親をコンテンツツリーに組み込むことで親作品の権利開放表明を行える」状態である
権利の乗っ取りによる二次被害発生の危険性
- 親作品が上記のような権利侵害作品であることを知らずに子作品が制作された場合子作品の作者も無意識のうちに権利侵害を行ってしまうことになる
- コンテンツツリーの原則として親作品の削除(権利者削除を含む)は子作品に影響しない・ツリーへの登録は強制ではないため権利侵害の被害者は正確な被害状況を把握できないまま権利侵害に対して個別に対応せねばならない
- 従って現状ニコニ・コモンズ及びコンテンツツリー・クリエイター奨励プログラム参加作品における権利侵害は「権利者が然るべき手順を踏み削除を行わない限り永続的に新たな権利侵害を生み続ける」システムとなっている
営利目的や嫌がらせ目的の悪質な権利侵害の横行の危険性
- 本項で述べたように非常に簡単に他者の権利を開放することができる・次々項で述べるように権利侵害の通報から削除までが非常に煩雑であることから「本来の権利者を無視した制作・ビジネス」や「個人創作者への嫌がらせ」などに非常に悪用しやすいシステムであると言える
クリエイター奨励プログラムについて
個人創作者の作品乗っ取り・成り済まし被害増加の危険性
- クリエイター奨励プログラムの項で挙げた通り一定以上のポイントが入ると審査が厳しくなる=明らかな権利侵害作品(特にアニメ・漫画などの画像を用いたもの)は除外されるが個人の創作物の流用は見落とされる可能性が高い=報酬条件として認められやすい無断転載のターゲットとなる可能性がある
- ニコニコ動画での外部からの個人製作物の流用・成り済ましに関してはaRth氏の前例がある
無関係なユーザが嫌儲叩きの対象となる危険性
- クリエイター奨励プログラムへの登録は参加ユーザの保護のため公開されない(参考:Q6)
- 従って投稿者以外からは「プレミアムアカウント」かつ「コンテンツツリー設定のある作品」は全てクリエイター奨励プログラムに登録している可能性があると取れる(権利関係はスコア確定・付与の直前にチェック=登録にあたっては自己申告による規約同意のチェックのみで審査はないため)
- よって「奨励プログラム参加者」と「親作品がある/二次創作はして欲しいのでコンテンツツリー登録はするが奨励金はいらないので奨励プログラムへは登録しないプレミアム会員」との区別が付かず前記の条件に合う全てのユーザが嫌儲叩きの被害に遭う可能性がある
現行他サービスや有償コンテストとの違い
素材ライブラリーについて
「ピアプロ」の独自ライセンスとどう違うのか
- ピアプロとはクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が運営するボーカロイド関連作品投稿サイトでありユーザ間の二次創作推進サイトである
- 投稿者自身が作品のライセンス条件を設定できる仕組みをニコニ・コモンズと比較されることが多い
- 「ピアプロ」のライセンスはクリプトン・フューチャー・メディア株式会社が所有しているコンテンツであるボーカロイドキャラクター(または許諾を受けた他社キャラクター)の権利を一部開放するものである
- ニコニ・コモンズに投稿される作品に関してニワンゴは一切の権利を所有していない点で異なる
クリエイター奨励プログラムについて
YouTube動画の収益化とどう違うのか
- YouTubeでは投稿動画にある程度の再生数がつくとGoogleAdとの連携機能で広告収入を得る誘いが来る
- 収益化に際しては簡単なチェック項目と内容説明で該当作品に権利侵害がないことを確認される
http://twitpic.com/8ejtgd - 収益化動画は広告の有無で判別可能であり同時に権利の開放を行うものではない点でニコニ・コモンズやクリエイター奨励プログラムとは異なる
- このサービスで得られるのは「子作品やマイリスト数を計上した人気度(計算法非公開)」による「奨励金」ではなく単純な「広告費」であり収益化の可否を任意のタイミングで変更することができる点でもクリエイター奨励プログラムとは異なる
賞金のある作品コンテストとどう違うのか
- コンテストでの不正の発覚は多くが作品が受賞の肩書きと共に多数の人の目に触れるためである
- コンテストでは不正に際して参加規約に予め受賞取り消し・副賞返還・以降の参加資格剥奪などの条項が設けられている場合が多い
- ニコニ・コモンズクリエイター奨励プログラムの場合参加作品の区別が付かない・点数付与後の不正発覚へのペナルティの明記がない点で異なっている
外部の権利者が取れる対応と考えられる問題
権利侵害が起きる前に
- 自身の作品に予め電子透かしやタグの埋め込みを行う
- 自身の活動の記録(サイトやブログ)を持っておく
- 編集データや圧縮前のファイルを残しておく
権利侵害が起きてしまったら
権利侵害の発生
├ 発見できない − どうしようもない
└ 発見する・第三者の通報を受ける
└ 自分のニコニコ動画アカウントか持っていなければ総合窓口から通報
├ 権利者証明できない − 諦める
├ 権利者証明 − 権利侵害作品削除 − 解決
└ ニワンゴに対し権利侵害者の情報開示請求又は訴訟を起こす
├ 非開示 − 諦める
└ 開示 − 権利侵害者のIPを入手
└ 権利侵害者のプロバイダに対し権利侵害者の情報開示請求又は訴訟を起こす
├ 非開示 − 諦める
└ 開示 − 権利侵害者の情報を入手
└ 権利侵害者に対して損害賠償請求訴訟を起こす
├ 敗訴 − 諦める
└ 勝訴 − 損害賠償を受け取る
権利者証明について
- 一方的な権利侵害に対して申立人は「権利者である証明」として「権利者本人の個人情報」及び「権利者が該当作品の権利を有していることが客観的に認められる資料の提出」が求められる
- 具体的には「電子透かしやタグの提示」「本人の活動歴が明らかなURL(ブログ・サイト)に削除申請受付番号を記載」「作者本人しか持ち得ないデータの提示」等が挙げられる
- しかし最終的な判断は運営事務局に委ねられるため証明内容はケースバイケースである(偽造または本人が公開した作業途中データを元にした悪意の第三者の申し立てが受理されてしまう可能性)
権利者が一般個人である際に考えられる問題
- 一方的に被害を受けた個人が発見・(登録)通報・証明の三手順を踏むのは負担である
- 侵害の被害状況が大きくても個人が訴訟を起こすのは時間・金銭的に困難である
- 被害者の「権利者証明」が認められなかった場合それは被害者の非であるのか
- 匿名の創作物・複数の権利者による創作物が無断転載された場合削除する方法はあるのか
再発防止に関する問題
- 現在権利侵害に対する措置として該当作品の削除以上の対応(BANなど)は見られない
- 一度削除された作品も再掲が可能である
現行システムへの疑問と要望
登録者情報の信頼性と開示
- ニコニコ動画のアカウント自体は非常に簡単に取得可能である
- プレミアム会員及びクリエイター奨励プログラム登録に際して口座情報を始めとする一定の個人情報の提出は行われるが、当然保護されており権利侵害の被害者は時間的・金銭的コストを支払って開示請求を行わなければならない(その手間を惜しんで泣き寝入りする個人権利者・それを狙った悪質な権利侵害ユーザを生む可能性)
簡単な登録と困難な権利者証明
- アカウント登録と同様素材投稿やクリエイター奨励プログラム参加は簡単に行うことができる
- 現状を見る限りでは登録者にも登録される素材にも特に審査はない模様
- 数時間で登録される素材に対して権利侵害の被害者は最低でも数日間のやりとりを必要とする
- バランス的に登録審査の厳格化か削除申請手続きのガイドライン整理が望まれる
悪質な権利侵害ユーザの排除
- 現在多くの権利侵害ユーザが見られるが該当作品の削除以上の措置は確認されていない(投稿作品全てに「拾い物」と記載されている場合も同様=権利者からの申し立てのあったものだけが削除されている状態である)
- 悪質な権利侵害ユーザに対してはアカウント削除や再登録の拒否・同様の口座情報を利用しているアカウントの停止などが望まれる
結局何が問題であると考えられるか
違反の認識のあるユーザとないユーザの存在
- 現状ニコニコ系コンテンツの筆頭であるニコニコ動画においては明らかな権利侵害が多く見られるが「権利侵害を認識しながらも楽しんでいるユーザ」と「そもそも権利侵害や権利侵害が法に反していることを知らないユーザ(特に若年層)」がいると考えられる
- ニコニ・コモンズでは現状悪意のある前者と無知な後者が問題を起こす可能性がある
悪意と無知を区別できないシステム
- 「悪意のあるユーザ」に関しては現状の登録システムを見直し登録時の権利者確認の厳格化(明らかな権利侵害作品の事前排除)を行うことである程度ふるいに掛けられる可能性が高い
- 「無知なユーザ」に関しては本まとめの「サービスの現状」「著作権問題への対応」で示された権利知識への啓発活動・周知がサービスへの登録前に十分行われることによって防げる可能性が高い
- 無知によって権利侵害が行えるシステムであるということは無知を装った悪意のユーザも権利侵害を行えるシステムであるということである
規約を読まないユーザと確認の不十分なサービス
- Twitterでは既に「規約を読まずにクリエイター奨励プログラムに登録したユーザ」が散見される(「登録解除できないなんて知らなかった」「ゲーム動画が駄目なんて知らなかった」等)
- 従って「クリエイター奨励プログラムは規約を読んでいなくても(理解していなくても)簡単に登録できるサービスである」と言える
- 「登録解除不可」かつ「1年以上の作品公開」を求めるプログラムの性質上「規約の理解度を測る簡単なチェック項目(少なくとも初回登録時)」又は「作品の内容を簡潔に表現するチェック項目」を設けるなどシステム側で「規約を理解していないユーザの安易な登録を防ぐ」「規約に反した作品を予め登録できないようにする」対応が望まれる
権利侵害被害を防ぐために
- 現状はユーザの権利意識のバラつきとそれに対応していないシステム共に問題があると考えられる
- 外部クリエイターの被害を防ぐためには権利知識の啓発とシステムの改善両方が必要である
参考リンク集
ニワンゴ関連サイト
ニコニ・コモンズサイト
http://commons.nicovideo.jp/
ニコニ・コモンズとは — ニコニ・コモンズ
http://help.nicovideo.jp/niconicommons/about/
ニコニ・コモンズ利用規約 — ニコニ・コモンズ
http://help.nicovideo.jp/niconicommons/tos/
ニコニ・コモンズヘルプ — ニコニ・コモンズ
http://help.nicovideo.jp/niconicommons/
ニコニ・コモンズヘルプ — ニコニ・コモンズ
http://help.nicovideo.jp/niconicommons/
ニコニ・コモンズによくいただく質問と回答(FAQ) — ニコニ・コモンズ
http://blog.niconicommons.jp/2012/02/faq.html
クリエイター奨励プログラム参加規約 — ニコニ・コモンズ(ログインが必要)
http://commons.nicovideo.jp/cpp/agreement
ニコニコ動画利用規約 — ニコニコ動画https://secure.nicovideo.jp/secure/rule
ニコニ・コモンズ - ニコニコ大百科
http://bit.ly/yXSJXX
クリエイター奨励プログラム - ニコニコ大百科
http://bit.ly/xAZFxb
2011.12/12 ニコニコ動画の次期バージョン「ニコニコ動画(ZERO)」を2012年4月29日よりサービス開始決定 — ニワンゴ PRESS RELEASE
http://info.niwango.jp/news/pdf/2011/20111212_02.pdf
2011.12/12 『原点回帰』ニコニコ動画5周年記念新サービス発表会(仮) — ニコニコ生放送
http://live.nicovideo.jp/gate/lv72117885(関連部分は0:14:45~0:25:48)
2012.01/16 コンテンツツリーの新機能と、クリエイター奨励プログラムの現状報告について — ニコニ・コモンズblog
http://blog.niconicommons.jp/2012/01/post-79.html
ニュースサイト記事
2008.07/07 ニコ動の「ニコニ・コモンズ」とは何か? — ASCII.jp
http://ascii.jp/elem/000/000/148/148696/
2008.07/12 津田大介が語る「MADとニコニ・コモンズは裏腹」 — ASCII.jp
http://ascii.jp/elem/000/000/149/149077/
2008.07/15 ニコニ・コモンズとは何なのか--ニコニコ動画内に説明ページが開設 — CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/media/20377293/
2008.07/31 ニコニ・コモンズとクリエイティブ・コモンズはどう違う?--ニワンゴ取締役が解説 — CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/media/20378090/
2008.07/31 「ニコニ・コモンズ」は日本人の美徳に目を向けた平和的解決策 — INTERNET Watch http://internet.watch.impress.co.jp/cda/event/2008/07/31/20449.html
2008.09/17 作品は「コピーされてなんぼ」の世界へ--ニコ動流著作権システム「ニコニ・コモンズ」 — CNET Japan
http://japan.cnet.com/interview/20380425/
2008.09/22 「クリエイティブ・コモンズ」のこれまでとこれから――アイサミット2008@札幌に想うこと・下 — 日経デジタルコア
http://www.nikkeidigitalcore.jp/archives/2008/09/2008_1.html
2011.12/13 ニコニコ動画で「クリエイター奨励プログラム」開始、二次創作の親にも還元 — Engadget Japanese
http://japanese.engadget.com/2011/12/13/niconico/
2011.12/19 ニコニコ動画、(ZERO)に進化 クリエイター奨励金など新サービス — SankeiBiz
http://www.sankeibiz.jp/business/news/111219/bsj1112190503001-n1.htm
2012.02/22 “リスペクト”を見える形に――進化する「ニコニ・コモンズ」 — ASCII.jp
http://ascii.jp/elem/000/000/667/667448/
外部サイト
㈱ニワンゴ取締役 木野瀬友人(@kinoppix)氏による [著作権制度は何のためにあるのか?]
http://kinoppix.tumblr.com/post/16418787488
クリエイティブ・コモンズライセンス — creative commons JAPAN
http://creativecommons.jp/licenses/
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの意義 ―契約法の観点から―
http://www.sekidou.com/articles/CClisenceSig.shtml
ピアプロとは? — ピアプロ
http://piapro.jp/intro/
著作権に関するご参考 — YouTube
http://www.youtube.com/t/howto_copyright?gl=JP&hl=ja
JASRACについて — JASRAC
http://www.jasrac.or.jp/profile/about.html
有志による関連情報まとめ
貴方の絵が乗っ取られる:ニコニコ動画「クリエイター奨励プログラム」でニコニ・コモンズが無法地帯に — Tumblr読書術
http://ocncn1800.tumblr.com/post/15822256627/nico
ニコニコ動画クリエイター推奨プログラム問題のwiki — @Wiki
http://www4.atwiki.jp/nicocreator/pages/1.html
【改訂版】クリエイター奨励プログラムの問題点【ニコニコ動画】 — YouTube
http://www.youtube.com/watch?v=oAYg8g0XIpI
「ニコニ・コモンズ」「クリエイター奨励プログラム」についてニワンゴ社への公開質問状 — Togetter