“ドラマ”宮本信子は驚異の出来ばえ!

2012.03.02


宮本信子【拡大】

 NHKのBSプレミアムで2月23、24日に放送された「こだわり男とマルサの女」のうち、23日放送のシリーズ1・ドラマ「宮本信子 天才との日々」を観た。とてもよかった(24日放送のシリーズ2・ドキュメンタリー「伊丹十三 『お葬式』への道」は録画したが、まだ見ていないので書けないけど、絶対いいはずだ)。

 「こだわり男」こと伊丹十三に寄り添った「マルサの女」こと宮本信子の目線を通して描かれた再現ドラマなのだけど、最初は違和感があった。

 伊丹十三役が平岳大(ひら・たけひろ)だったからだ。平幹二朗を父、佐久間良子を母に持つ彼は、一度見たら忘れられない個性派俳優。印象が強すぎて、伊丹十三とは似ても似つかないと思った。

 一方の宮本信子役は近衛はな。目黒祐樹の娘というけれど、それよりなによりNHKのスペシャルドラマ「白洲次郎」の脚本を大友啓史(「ハゲタカ」「龍馬伝」の演出家)と共同で書いている。期待の才媛とみた。

 そんな個性派が演じる「再現ドラマ」だから、個性が強すぎて「再現」どころじゃないだろう…と思ったのだが、それは大誤解だった。演出や照明などのスタッフもよかったのだろう。

 近衛はなのほうは、顔立ちが宮本信子に近いところもあるから、衣装や髪形を似せれば、まぁ、そこそこ見えなくもないかとあまりこだわらずに観ていたが、平岳大のほうに、しだいに伊丹十三が乗り移ってきた。

 例えば2人がこたつで酒を呑み、伊丹十三がごろんと横になると、宮本信子が「はい、ここにどうぞ」とか言って伊丹十三を膝枕させる場面。そして、2人が話しているのを後ろからそっと撮った場面には、それこそ腰を抜かすほど驚いた。

 そっくりなのだ。いや、そっくりというのとは違うなぁ。画面のなかで、まさに伊丹十三と宮本信子の2人が呼吸している、そんな感じ。

 そりゃそうだろう。かつて2人が暮らし、後に映画「お葬式」にも使われたあの家で撮影されたのだから。「気」のようなものが画面に映ったとしても不思議ではない。それにしても、この2人、ステキだなぁ。(新橋のネクタイ巻き)

 

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