「加齢に関係なく脳は成長させられる」~「プロフェッショナルたちの脳活用法2」から~
脳科学者の茂木健一郎さんと、NHK「プロフェッショナル」制作班との共著で、「プロフェッショナルたちの脳活用法2」~育ての極意とアンチエイジング~(NHK出版)が、このほど出版された。
『人間の脳は何歳(いくつ)になっても成長できる』と前置きして、子どもや部下そして自分自身を成長させるための〝育ての極意〟、さらに、脳をいつまでも若々しく保つための〝脳のアンチエイジング〟を説いている。
*脳は、加齢に関係なくよみがえらせる
俗な言い方をすれば、手に入れたいものに対しては飽きっぽく、まだ手が届かないものに対しては貪欲に獲得しようと働くのが、人間の脳の基本的な仕組みなのだ。
そして、その仕組み自体が原動力になり、人間の脳は生涯にわたって、こんな願望を抱きつづける。
――もっと成長したい。
「成長」という言葉は、子どもや若者に向けて使われることが多い。だが、最新の脳科学の研究では、かつての常識を覆すような意外な事実が次々に解明されている。
たとえば、脳の神経細胞をつなぐネットワークは、加齢とともに減りつづけると思われていたが、脳の使い方によっては年齢に関係なく、いったん働きが弱まったネットワークを、よみがえらせることうができる可能性があることもわかってきた。
*「自分が学ぶこと」を日々続けることが
脳の「育成」や「アンチエイジング」は、われわれ脳科学者の間でも非常に関心が高いテーマであ。そして脳の機能を突き詰めていくと、育てるための疑問も、アンチエイジングへの疑問も、じつは共通の洞察で解き明かすことができる。
「他人が学ぶこと」を助けるのが育成という行為だが、「自分が学ぶこと」を日々続けている状態が、脳にとっては最高のアンチエイジングになる。
結論を述べてしまえば、人間の脳は何歳になっても成長するものであり、なおかつ、何歳になっても若々しさを保つことが可能なのだ。
そんな驚くべき脳の秘密を、プロフェッショナルたちの珠玉の言葉や、貴重なエピソードから検証することができる。
(茂木健一郎、「NHKプロフェッショナル」制作班共著「プロフェッショナルたちの脳活用術2」(NHK出版)から)