病院設計者のブログ

病院・診療所の新築・建替・リフォームに関する事や、その他色々な事について書いていきます。

自家発電機設備

2011-04-04 | 病院建築
東日本大震災により、被害を受けられました皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。


昨年7月からこのブログを休止していましたが、本日より再開します。
ブログの更新を休止していた間も、問合せをいただき、ありがとうございました。

以前よりも、より多く更新いていきたいと思いますので今後とも引き続き
よろしくお願い致します。


今回の地震で大変多くの方が被災されましたが、私が設計で関わった、
病院やクリニックは、ほとんど被害が無かった様です。

しかしながら、関東地方の計画停電で苦労されているところは多いです。

テレビやマスコミは、『計画停電を行っても、病院や診療所は自家発電機が
あるので、問題ありません』などと言っていますが、病院、診療所でも、
自家発電機が無い所はたくさんあります。


入院施設のあるところは、自家発電機の設置が法律で義務付けられているような、
説明をテレビでしているような人もいましたが、入院施設があるから、自家発電機を
設置しなければならない、という様な法律がありません。


建物の用途と規模により、消防設備(スプリンクラーや、屋内消火栓)等の設置
義務が発生し、それに伴い自家発電機の設置が法的に義務付けられるのです。


ですから、病院でも、規模が小さいところでは、屋内消火栓の設置義務が無いので、
法的には、自家発電機の設置義務は無いのです。


自家発電機を設置している病院でも、消防設備の為だけに利用し、
一般のコンセントの回路につながっていない場合もあります。

また、一般のコンセント回路に自家発電機をつなげているとしても、
すべてのコンセントや照明に発電機回路からの電源がきている訳では
ありません。

ICUや手術室等、必要な箇所に限定して、配線されていると思います。
そうしないと、自家発電機の容量が大きくなり過ぎてしまい、コストが
高くなってしまうからです。

設計段階で、災害時に必要となる場所を想定し、そこへ発電機からの電源が
くるように設計しますが、その場所を想定するのが、結構大変です。


病院職員の方々と打合せをすると、ここにも、あそこにも、となってかなりの
数になってしまいます。


災害時(停電時)に最低限必要な医療行為・日常行為を考え、それに必要な
電源を確保する。という形にして数を抑えて設計をしていくことが必要です。


しかしながら、そこまで設計を行っても、見積段階で金額が出てくると、
少しでも工事金額を安くするために、自家発電機設備がコストダウンの
対象になってしまいます。


今回の震災前までは、埼玉県で自衛隊の飛行機が墜落して、半日位停電
をしたことは、あったのですが、それ以外の地域では首都圏での大規模
停電というのは、ほとんど無かったのです。


ある病院の院長先生は、『ここで開業して30年以上になるが、停電して
困った記憶は無いよ』と仰っていました。


我々設計者としては、医療施設なので、万が一のために、自家発電機は
設置をすべきです、と説明するのですが、上記の様な理由もあり、減額
対象になり、取り止めになることがありました。


また、すでに自家発電機を設置していたところも、メンテナンスをしていなくて、
作動するかどうか分からないものもありました。


今回の震災による計画停電などで、非常用電源の重要性が認識されたと
思います。


六本木ヒルズなどは、ガスによるコージェネレーション
(大雑把な説明ですが、ガスにより発電を行い、その段階ででる
熱により、給湯や冷暖房を行うエネルギー供給システム)
を行っており、災害時には、ガスから灯油に燃料を切り替えらられる
ように対策をとっていることも、注目されています。


現在、自家発電機を設置しますといった、詐欺まがいの業者が現れている
らしいので、あわてて、そのような業者に引っかからないように注意して
ください。








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