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大坪 文夫
2012年1月14日 (土)

「フラット35」の金利はこれから更に下がるのか、上昇に転じるのか?

「フラット35」の金利が上昇トレンドに入った?!

昨年11月、「フラット35S」に金利優遇措置のある「フラット35Sエコ」が創設され、「フラット35」が再び注目を集めてきました。その「フラット35」の金利は1月融資分で過去最低であった2010年9月の2.060%に接近。今がボトムで今後上昇に転じる可能性も出てきています。仮に上昇トレンドに入ったとしたら、せっかくの優遇分も消えてしまうことになりかねません。
「フラット35」は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携する最長35年間の長期固定金利型住宅ローン。耐震性などに優れた住宅を取得する場合の「フラット35S」では、通常の「フラット35」よりも当初10~20年間の金利が0.3%引き下げられ、また省エネに優れた住宅を取得する場合の「フラット35Sエコ」では当初の5年間、東日本大震災の被災地で1.0%、被災地以外で0.7%に引き下げ幅が拡大されます。

■「フラット35」の3年間の金利推移はどうなっている?
民間の長期固定金利型に比べて有利な条件で融資を受けられる「フラット35」(「S」や「Sエコ」も含む)ですが、金利については毎月改定が行われます。住宅金融支援機構が提示する金利に、取扱金融機関が自社の経費分などを上乗せして金融機関ごとに設定しますが、基本的には長期金利の変動に連動します。
では、「フラット35」の金利推移はどうなっているのでしょうか。下のチャートは、住宅支援機構が発表している毎月の金利を基に2009年1月から2012年1月までの3年間の金利(借入期間21~35年以下で各金融機関が設定したうちの最低金利)の推移をみたものです。かなり変動があることが分かると思います。

「フラット35」借入金利の推移 2009年1月~2011年12月

借入期間21~35年以下の最低金利(住宅金融支援機構)

例えば、この3年間で最も金利が低かったのは2010年9月の2.060%。逆に最も高かったのは2011年の4月と5月の2.630%でした。わずか7カ月の間に0.57%も上昇しています。
この0.57%の金利の差はローン返済にどの程度の影響を及ぼすのでしょうか。仮に借入期間30年で3000万円の融資を受けたとして計算すると、毎月の返済額で8785円、総返済額で約316万3000円も違ってきます。金利が低いときに融資を受けることの大切さがわかります。

■金利の低下余地は限定的か、上昇トレンド入りの可能性も
では、この先、「フラット35」の金利はどう動いていくのでしょうか。直近の動きをみると、11月、12月と2カ月連続して上昇した後、今年1月は長期金利の低下を受け2.140%へ低下してきました。
ただ、今後も低下傾向が続くかどうかは疑問です。長期金利の指標となる10年物国債の利回りが12月に急低下(価格が上昇)したのは、欧州債務問題による不安感から相対的に安全資産である日米の国債に資金が退避してきたことによるからです。すでに12月下旬には底打ちの兆しを見せています。
現時点で言えるのは、現在の金利水準は歴史的な底値水準にあるということ。今後低下するにしても低下余地は限られているという見方が主流です。
また、少し長い目で見ると、上昇トレンドに入る可能性もあります。財政悪化の状況を考えると、日本国債の信用度は低下(利回りは上昇)していく恐れがあるからです。
「フラット35Sエコ」の創設も決まった今、住宅購入を検討するにはいい時期と言えるのではないでしょうか。
(ファイナンシャルプランナー、大坪文夫)

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