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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2012年11月27日 (火)

注文住宅の建築費用は2588万円。240万円プラスならスマートハウスにしたい?

注文住宅の建築費用は2588万円。240万円プラスならスマートハウスにしたい?
Photo: iStockphoto / thinkstock

【今週の住活トピック】
「2012年注文住宅動向・トレンド調査」 リクルート住まいカンパニー

http://www.recruit-sumai.co.jp/press/2012/11/2012chumon-chousa.html

リクルート住まいカンパニーが、注文住宅の建築者(2015人)及び建築予定者(2006人)の意識や行動に関する調査をしたところ、スマートハウスの認知度が87.3%に増加するなど、興味深い結果が出たことが分わかった。そこで、注文住宅の動向やトレンドを探ってみることにしよう。

注文住宅の建築費用は2588万円、頭金は854万円が平均額

全国で注文住宅を建築した人の建築費用は平均2588万円、頭金は平均854万円。親からの資金援助を受けていない人は過半数の57.5%で、贈与を受けた人の平均額は333万円、というのが平均像だ。このうち、親や自分たちが住んでいた住居を「建て替え」をしたのは17.5%、住んではいないが所有していた土地に新築したのは15.3%、残りの66.6%は新たに土地を取得している。

新たに土地を取得する方法は2つあり、第1は純粋に土地を購入する方法。古い家が付いている場合(中古住宅として扱われる場合もある)や「定期借地権」付き(50年などの期限がきたら住宅を取り壊して土地を返却するもの)の場合も含まれる。こうした条件が付いている場合は、取り壊し費用が必要であったり、期限が定められていたりするため、土地の価格がその分安くなる。土地を購入して、その上に住宅を新築する場合、法律上の制約は受けるものの、原則として住宅の構造や間取り、仕様・設備は自由に選べるのが特徴だ。

第2の方法は、「建築条件付き」の土地を購入して住宅を新築すること。土地の売買契約をする上で、土地の売主または売主が指定した建築事業者と一定期間内に建築請負契約を結ぶことが条件となっている。したがって、自由に建築事業者を選ぶことはできないし、指定の建築事業者が得意とする工法に制約がある場合、木造やツーバイフォーなど自由に工法を選べないということも起こりうる。また、間取りなどは自由設計が基本だが、一定期間内に設計プランを固めて建築請負契約を結ぶ必要があることから、売主が用意した「参考プラン」をベースに設計変更を加えるといったケースも多い。注文住宅の建築の際に、土地を新たに購入する場合は、こうした違いをよく理解しておくことが大切だ。
ちなみに、2012年の調査では、建築条件のない土地の取得が48.4%、建築条件付きの土地の取得が18.2%という割合になっている。

大震災や消費税増税の影響も見え隠れ

一方、注文住宅の新築予定者(建て替え予定を除く)の「建築のきっかけ」として、「いつかは一戸建てに住みたいと思っていた」29.1%に次いで、「消費税が上がる前に建てたいと思った」が23.7%と上位に入っており、2014年4月以降に予定されている消費税増税の影響がうかがえる結果となった。また、建築予定者(建て替え予定含む)が重視する条件として、「耐震性に優れている」ことが72.1%と突特出して多く、「間取り・プランが良い」51.1%、「断熱性・気密性に優れている」50.0%を大きく引き離している。東日本震災後に「耐震性」の重視度が高くなったという結果もあり、大震災の影響もうかがえる結果となった。

スマートハウスの認知度が急増して87.3%に

この調査では、「スマートハウス」についての認知や意向についても調べている。スマートハウスの認知度は87.3%(「名前だけは知っている」58.7%、「内容まで知っている」28.5%)と前回調査の41.1%から大きく上昇している。また、認知率については、建築者(87.7%)、予定者(86.8%)でそれほど大きな違いはない。

図表

さて、認知率が9割近くに及ぶ「スマートハウス」だが、内容まで知っている割合も3割弱と高い。では、スマートハウスとはどういった定義になるのだろう?スマートハウスとは、IT(情報技術)を使った賢い住宅のこと。最近では「太陽光発電システムや蓄電池などのエネルギー機器、家電、住宅機器などをコントロールし、エネルギーマネジメントを行うことで、家庭内におけるエネルギー消費を最適化する住宅」といった定義がされるようになっている。
それを可能にするには、「省エネ」「創エネ」「畜エネ」「HEMS」の4つの要素だ。実際に今回の調査票にも、「省エネ」として、高い性能基準の省エネ住宅になっていることや「創エネ」として、太陽光発電や家庭用燃料電池エネファームなどの自家発電装置を使用していること、「畜エネ」として、蓄電池やPHV(プラグインハイブリッド車)などの蓄電の仕組みがあること、「HEMS(Home Energy Management System)」として、IT(情報技術)を使ったエネルギーを集中コントロールする機器で電気の利用状況が可視化されていることなどの具体例が示されて、そのうえで回答を求めている。

4つの要素を備えることで、スマートハウスの導入を検討、または検討しようと思っている人(検討者のうち851人)や実際にスマートハウスを建築した人(建築者のうち181人)が、その理由の上位に挙げているような効果を生むことができる。つまり、「節電、震災といった環境変化に伴い、エネルギーを自宅でまかなえる」、「売電、省エネなど生活費に経済的なメリットがある」といったことが期待できる。

また、スマートハウスにするために追加でにかかるコストとして許容できるのは、スマートハウスの導入を検討、または検討しようと思っている人で平均240万円、実際にスマートハウスを建築した人で平均244万円と、いずれも240万円台となった。

ほかにも、多世帯住宅に関する調査も行っており、これから注文住宅を建てようという人には参考になる調査結果かもしれない。

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