昨年発刊された書籍『コミュニティデザイン―人がつながるしくみをつくる』が話題に。コミュニティデザインとは、「人のつながり」をデザインすることで、街とそこに住む人たちを元気にすることをいう。著者の山崎亮氏とは、どんな活動をしている人なのだろうか。
山崎氏は、1973年愛知県生まれ。studio-L代表、京都造形芸術大学教授。当初ランドスケープデザイナーとして公園などの設計に携わっていた。ここ最近では、ハードのデザインではなく人と土地のつながり方を街づくりに活用するコミュニティデザイナーの第一人者として、全国津々浦々を駆け回っている。
地元住民のニーズを調査し公共事業に活かしたり、企業と住民のコラボレーションプロジェクトの橋渡しをするのが彼の役割だ。ポイントは、住民自らに課題や魅力を発見させ、自分たちの手で解決法を考えさせることだという。これまでさまざまな自治体を成功に導き、現在全国各地から依頼が殺到しているそうだ。
具体例としては、兵庫県立有馬富士公園の市民参加型パークマネジメント。凧揚げや生き物の観察会といった活動を地元のNPOやサークルに依頼し、持続的に来園者を楽しませる公園づくりを実施。この成果を中心市街地に取り込んだのが、鹿児島市の百貨店“マルヤガーデンズ”の例だ。飲食や物販などの店舗と並んで、“ガーデン”と呼ばれる、地域NPOやサークルの活動場所となるスペースを設置。そこに集まる人たちが帰りに買いものをし、普段デパートに来ない層を呼び込むことに成功したという。
このような山崎氏の成功例のほかにも、地域活性を目的とした新たな活動が行われているので、いくつか紹介してみよう。
【西宮船坂ビエンナーレ 2012】
国内外の作家の作品を兵庫県西宮市山口町船坂の集落内に展示。ワークショップ・パフォーマンス・コンサートなど、多角的に展開する。滞在制作・交流期間:8月ごろ~10月19日、展覧会・イベント期間:10月20日~11月25日。主催:船坂里山芸術祭推進委員会。
【ソーシャルスポーツコミュニティ マイプロSHOWCASE】
希薄化する都市圏の地域コミュニティを活性化させるべく、“スポーツ×地域”をテーマに埼玉県の川口市を舞台に活動。リングビー&ダーカウといった安全な遊具を使ったスポーツのほかに、異業種交流×フットサル、国際交流×バレーボールなどを随時開催。
【第2回 ストリート甲子園in南関東 2012】
首都圏で活動するストリートミュージシャンが、各地域の代表アーティストとしてほかの地域のチームと競い、会場投票形式で優勝を決めるイベント。演奏だけでなく、地域クイズや、セッション等、さまざまなお題をクリアすることで点数が加算される。
このように、楽しみながら「人や地域のつながり」を深められる新たな活動から目が離せない。自分の住んでいる街も、あなたが動けばもっと魅力的な街にすることができるかも!