角川グループとACCESS、EPUB3準拠の電子書籍ビューワ開発に着手BOOK☆WALKER向けに

角川グループはACCESSとEPUB3準拠の電子書籍ビューワ開発に着手。自社グループで提供する作品のEPUB3化も進め、次の展開に向け地ならししている。

» 2012年06月06日 14時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 角川グループホールディングス(角川GHD)とACCESSは6月6日、角川グループの電子書籍プラットフォーム「BOOK☆WALKER」向けに、ACCESSの「NetFront BookReader EPUB Edition」をベースにしたEPUB3準拠の電子書籍ビューワの開発に着手したことを明らかにした。8月をめどに提供開始予定。

 グローバル標準の電子書籍ファイルフォーマットとして有望視されている「EPUB」。国内ではXMDFか.bookが主流だが、国内でも普及が進むとみられるフォーマットだ。ACCESSは早くからEPUBに対して取り組んでおり、EPUB3ビューワのリファレンス実装を開発するオープンソースプロジェクト「Readium」などにも参加している。

 今回、角川グループと進めるのは、「NetFront BookReader EPUB Edition」をベースにしたBOOK☆WALKER向けのEPUBビューワ。独自機能として、角川グループの強みといえるライトノベル作品で、イラストがより大画面で楽しめる機能や、デバイス間の共有しおり機能等を予定しているとしている。現在は角川グループのメディアファクトリーの電子書籍ストアアプリなどではすでにACCESSの電子出版プラットフォーム「ACCESS Digital Publishing Ecosystem」を採用しており、これらのノウハウも活用されていくとみられる。

 また、ACCESSの技術支援を受け、グループ各社で保有する約5000タイトルをEPUB3準拠にさせることも明らかになった。これは、EPUB3に準拠した製作フローを社内で確立し、それをBOOK☆WALKERだけでなく幅広いストアで販売していこうとする戦略の第一歩だ。出版デジタル機構のように作品の電子化を請け負う動きもある中、また、EPUBの国内展開がさほどスムーズに進んでいない現状を考えると、出版社として意欲的な取り組みだといえる。また、上述したReadiumの成果なども取り入れ、Webブラウザで作品を読めるようにする取り組みにもつながっていくだろう。

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