Facebookナンバー2の意外なキャリア

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Facebookナンバー2の意外なキャリアとは

 Appleのスティーブ・ジョブズやFacebookのマーク・ザッカーバーグら、よく知られている経営者の多くは、若い頃から起業家として注目を浴び、一代で自分の会社を世界有数の企業に成長させている。
 そのため、成功する起業家は20代はじめにキャリアプランをつくり、あとはわき目も振らずに、自分のプランのレール上を走り続けている人なのだと思っている人も多いのではないだろうか。

 しかし、リンクトイン(LinkedIn)の共同創業者であるリード・ホフマン氏はそうは考えない。
 『スタートアップ!』(リード・ホフマン、ベン・カスノーカ/著、有賀裕子/訳、伊藤穣一/序文、日経BP社/刊)はスタートアップ、つまり“起業”に散りばめられた発想や知恵、ヒントを、個人のキャリアにどう活かせるかについて語っている一冊だが、そこでFacebookのナンバー2として知られるシェリル・サンドバーグの例を取り上げている。

 サンドバーグはFacebookのCOO(最高執行責任者)のほか、ディズニーやスターバックスの取締役も勤めるなど、産業界で最も影響力のある女性のひとりとして知られている。これほど輝かしい実績を持つ彼女だが、最初から野心的なキャリアプランを組んで、それに忠実に従ってきたわけではなく、むしろその逆なのだという。
 彼女の社会人として第一歩はインドであり、世界銀行の公衆衛生プロジェクトであった。これはサンドバーグの「恵まれない人々のために尽くして世の中を変える」という深い信念に基づくものだったが、その後方向転換。ハーバード・ビジネススクールでMBA(経営学修士号)を取得し、コンサルティング会社で1年間働いたものの「企業で職歴を積むのは自分に合わない」と再度、方向性を変える。そして政治の世界に入り、約15年間、ローレンス・サマーズ財務長官の主席補佐官を務め、アメリカ人の暮らしを向上させる政策立案を手伝った。
 ここまででも分かるように、何度もキャリアを変えてきたサンドバーグ。しかし、まだFacebookにはたどり着いていない。彼女は続いて、これから急成長する分野への挑戦を求めてグーグルに入社する。そこで、アドワーズとアドセンスという2つのオンライン広告サービスを発展・成長させる上で大きな役割を果たし6年間の勤務を経て、ザッカーバーグに請われ、FacebookのCOOに就任するに至るのだ。

 めまぐるしいほど自分のキャリアを変えてきたサンドバーグだが、実は傑出したプロフェッショナルの間では、サンドバーグ流は異端ではなく常識だという。
 起業家精神の旺盛な企業な人は、絶えず進化を続けるが、それは行き当たりばったりではなく、秩序立てて判断をくだしている。固まったプランはなくても、順応性の高いしっかりとしたプランづくり、「ABZプランニング」を実践しているのだ。
 ABZの「A」は現状を指す。今、自分が競争上の強みをどう活かしているかがプランAとなる。「B」は目標や目的、あるいはそこにたどり着くルートが変わった場合に採用するもので、AからBへの切り替えはAがうまくいかなったり、より素晴らしい機会が見つかったりしたときに採用する。サンドバーグの例でいうのであれば、20年前は世界銀行が彼女にとってプランAで、現在がフェイスブックとなる。そして、「Z」はいざというときの備え、救命ボートのようなものだ。

 時代が変わっていくと、今の自分の強みが通用しなくなってしまうこともあるだろう。
 しかし、ビジネスでも人生でも最前線で活躍していることが望ましいはず。そのために、事前のプランだけでこだわるのではなく、そのときの状況に応じてプランを変更することも重要だ。自らのキャリアをしっかりと考えたいときに本書は参考になるだろう。
(新刊JP編集部)



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