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欧州債務危機 最悪の局面は去ったと見てよいと為替専門家

 昨年10月末に、1ドル=75円台まで急騰したドル円相場は、政府・日銀の円売り介入で、80円台が続いていたが、5月に入り、米経済の軟調ぶりや、欧州の債務危機が解決の目処がつかないことから79円台まで戻してきた。そんな中、ユーロや豪ドルの為替相場はどのように動くのか、為替のスペシャリストで酒匂エフエックス・アドバイザリー代表の酒匂隆雄氏が解説する。

 * * *
 現在の為替相場ついては慎重なスンタスで臨むべきだ。特に、豪ドルには注意したい。5月1日に、オーストラリア準備銀行(RBA)は、0.5%の大幅利下げを実施。市場で豪ドルは急落し、1豪ドル=80円を大きく割りこんだ。市場の一部では、利下げ幅が大幅だったことからRBAの追加緩和の可能性は低いという見方もあるが、私は、年末に向かって、もう一段の引き下げがあるのではないかと予想している。

 その理由は、オーストラリア経済に大きな影響を及ぼす、中国の景気が本格的な回復をするまでには時間がかかると見ているからだ。よって、RBAによる追加緩和の観測が浮上すれば70円台半ばまでの豪ドルが下押しする可能性があり、80円割れをあせって拾う必要はない、ということになる。

 ユーロについては、ギリシャの政局不安を含め、債務危機が短期間で収束するわけはなく、当然、下値を探る動きが続く。ギリシャのユーロ離脱などが取り沙汰されているが、現時点でそれを予想することは現実的ではない。ただし、今回の状況を見る限り、最悪の局面は去ったと見てよいのではないか。

※マネーポスト2012年夏号

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