人身取引(売買)問題に取り組むNPOポラリスプロジェクトジャパンと移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は20日、日本の人身取引の現状を伝える緊急メディアセミナーを日本外国特派員協会(FCCJ)で開催した。日本国内における売春の実態を告発した。韓国の複数のメディアが報じた。

 韓国メディアは、「アルバイトを探していた韓国人留学生、結局は売春まで」「日本の人身売買の最多被害は韓国人女性」などと題し、日本で強制的な売春に苦しむ被害者を助ける非営利団体、ポラリスプロジェクトジャパンが東京で記者会見を開き、被害女性たちからのメッセージを公開したと伝えた。

 同団体の発表内容の中には、留学生など、韓国出身の女性らが売春に強制的に動員されている実態も含まれていた。

 韓国人ブローカーにだまされ、上野でデリバリーヘルス(出張売春)を強要された韓国人女性の場合、売春をするほど借金が増え、住んでいたアパートには、逃走防止用の監視カメラまで設置されていた。この女性が救助を要請した際には、骨盤腹膜炎で出血し、何も食べず、ベッドから起きることもできないほど衰弱した状態だったという。

 同団体は、被害女性たちが日本の警察に申告しなかったのは、日本当局が外国人売春女性を保護しないことを知っていたからであり、日本には包括的な人身売買対策法がなく、人身売買による被害者を保護するための避難所や、ホットラインを開設していないためであると指摘。

 韓国メディアは、米国務省が同日発表した世界各国の人身取引の実態をまとめた「人身売買実態(TIP)報告書 2012」で、韓国は人身売買の被害者保護に関する最低基準を満たしている「第1段階」に分類されたが、日本は8年連続で、人身売買を防止するための最低限の基準を満たしていないとして、カンボジアやインドなどと同等の「第2段階」に分類されたと紹介。主要8カ国(G8)諸国の中で、第2段階は日本だけだと指摘した。

 女性の人権後進国の日本で、人身売買の被害を最も多く受ける外国人女性は韓国人であり、ポラリスプロジェクトジャパンの藤原代表は「日本政府は1日も早く、人身売買禁止法案を作るべき」と強調した。(編集担当:李信恵・山口幸治)