今、中高年のプラモデル回帰が起きている。出戻りモデラーを魅了する一つが、作った後も残したくなる箱だ。
プラモの箱は「パーツ容れ」であるとともに「色の見本」でもある。もし箱が真っ白だったら、これほど多くのファンを生み出せただろうか。
戦前、挿絵画家として高い評価を得ていた小松崎茂は戦後の1950年代に絵物語で、1960年代以降は雑誌の口絵で名を馳せていた。だが、その名を「伝説」のものにしたのはプラモデルの箱絵だった。
プラモデル人気に火をつけた「パンサータンク」を担当した後、各メーカーの箱絵を席巻していく。以来、箱絵は第一線の画家を起用するという流れが定着していく。
「プラモデルの魅力は、力強い箱絵抜きにはありえません。うちの箱絵はCG全盛の今もほとんど手書きのまま」(タミヤ・広報)
箱絵も中身と同様、やっぱり手作りが似合うのだ。
※週刊ポスト2012年7月13日号