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 5月22日にオープンし、自立式電波塔として世界一の高さ634mを誇る「東京スカイツリー」。どこよりも高い360°の東京パノラマを眺めることのできる地上350mの天望デッキと450mの天望回廊の収容人数は、わずか2,900人。オープン初日から強風で展望台エレベーターが停止し、7月10日まで当日券が販売されないにも関わらず、開業から1週間で当初予想の1.5倍強となる164万人もが詰めかけている。

 日本最高峰は標高3,776mの富士山だが、世界最高峰といえば8,848mの標高を誇るエベレストだ。1920年代に世界初のエベレスト登頂を目指し、三度の遠征に挑んだ末、消息を絶ったイギリスの登山家ジョージ・マロリーは生前、まさに自身の生涯を掛けたエベレスト登頂の理由を聞かれ「そこに山があるから」と答えたのは有名な話である。およそ3ヵ月を要したエベレスト第一次遠征から約90年、東京スカイツリーのエレベーターは第1展望台までの350mを約50秒で結ぶほど技術は進歩を遂げたが、人は今も昔も変らずに、なぜ高所に立とうとするのだろうか…?。

 6月2日午前、東京・六本木交差点近くの8階建てビル屋上で、20代女性による飛び降り自殺騒動が起きた。発見者の通報により消防車や救急車が出動し、道路は規制され、ビルの真下には衝撃緩衝用の巨大なエアクッションが敷かれるなど、周囲は一時騒然に。その様子は偶然現場に居合わせた野次馬によるTwitterや、自宅警備員による2chまとめサイトでリアルタイムに中継された。約3時間後に無事保護された彼女がビル屋上に立った理由は「彼氏と口論した」とのことだが、そこに至るまでには一言では語り尽くせない物語があったのだろう。

 そして7月7日、落ちたら即死、地上60m×幅35cmの“崖っぷち”に立つ一人の男の物語が幕を開ける。映画『崖っぷちの男』では、NYのルーズベルト・ホテル21階の客室の窓外に突如現れた“飛び降り自殺志願者”に、地上では不謹慎にも落下の瞬間を見逃すまいと野次馬やレポーターたちが詰めかけ、それを整理する警官たちで騒然に。一歩足を踏み外せば、手を滑らせたら、バランスを崩したら…待ち受けるのは死あるのみ。男はなぜ“崖っぷち”に立ち、何を訴え求めるのか? もはや後戻りはできない、命を懸けた一世一代の大勝負が幕を開ける。

 高所恐怖症でなくても、高所に立ち恐怖を覚えるのは人間の本能として通常の反応だ。しかしながら多くの人が高所に立ち、恐怖とともに生きていることを実感し、どこまでも広がる壮大な景色を前に自分自身と向き合うのだろう。

 気象庁は9日に関東の梅雨入りを発表し、平年では7月21日頃とされる梅雨明けまで、東京スカイツリーからの景色は期待出来そうにない。繰り返される日常に自分自身を見失いがちな現代人は、劇場で“崖っぷち”に立ってみるといい。

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『崖っぷちの男』特集