住まいの雑学
55
SUUMOジャーナル ピックアップ
2012年7月31日 (火)

空振、火砕流、火山ガス…。いま富士山が噴火したらどうなる!?

fujisan
Photo: Stockbyte / thinkstock

いまから1231年前の西暦781年の今日、富士山が噴火したという記録が残っている。これは、年月日まで判明している富士山噴火史の中で最も古いもの。その後、歴史資料で確認できる噴火は9回見つかっており、1707年の宝永噴火を最後にこれまでの約300年間、富士山は静かな状態が続いている。

とはいえ、日本が世界に誇る富士山が、地下深くでマグマ活動を続けている活火山であることはご存じのとおり。もし万が一、噴火したときにはいったいどんな被害が想定されるのか…。

なにしろ前回の噴火が300年前の出来事なので、対策しようにもなかなか難しい。そこで内閣府では、富士山の火山活動が発生した場合等にできるだけ被害を少なくするため、富士山火山防災協議会を発足。富士山噴火防災マップなるものを作成している。

この防災マップでは、噴火した際にできる火口の位置、避難が必要な範囲、火山灰や軽石の降灰範囲、想定される災害を示している。とくに富士山近辺で生活している人は以下をチェックしてもらいたい。

■溶岩流
高熱の溶岩が斜面を流れ、家や道路を埋め近くの木々を燃やす。流れの速さは人が歩く程度なので、余裕を持って逃げることができる。

■土石流
山の斜面に火山灰が厚く積もると、雨で流れて土石流となる。特に厚さ10cm以上積もる地域では、何回も土石流が起こることも。人が走るより速く流れるので、降雨時は注意が必要。

■火砕流
高温の岩石・火山灰・火山ガスの混合物が斜面を高速で流れ下り、巻き込まれると死亡する場合がある。自動車より速く流れるので、早めに避難する必要がある。

■岩屑なだれ(がんせつなだれ)
山の一部が崩れ大きなかたまりとなって雪崩のように高速で流れる。約2500年前に富士山東側の御殿場方面に流れたことや、さらに昔にも複数回あった可能性があることが分かっている。広域に被害が及ぶので危険性が高まった場合には、早めの避難が必要。

■噴石
噴火時に火口から放り飛ばされる直径数cm以上の岩の破片や軽石を噴石という。火口から半径2km以内はたくさん飛んでくるのでとくに危険。1707年の宝永噴火では、上空の強い西風に乗って、火口から10kmほど離れた場所で20cm程度の軽石が飛んできた。

その他、噴火に伴う空気の振動によって窓ガラスが割れるなどの被害をもたらす「空振」や、有毒な成分を含んだ「火山ガス」の発生、「洪水」、「津波」などが挙げられている。

地震をはじめ、とかく自然災害が多い日本列島。国だけでなく市民のあいだでも防災意識が高まっている昨今ではあるが、いつ噴火するか分からない火山の危険性をふだんから意識しておくことはなかなか難しい。せめて一年に一度くらいは、いざというときのための対策、準備等を考えてみてはいかがだろうか。

■富士山火山防災協議会「富士山火山防災マップ」
HP:http://www.bousai.go.jp/fujisan-kyougikai/fuji_map/index.html

前の記事 街頭テレビでプロレスを中継するのって、著作権法的に大丈夫なの?
次の記事 低コストで節電対策に人気のLED照明。その実力と最新アイテム。
SUUMOで住まいを探してみよう