ライフ

アルツハイマー 大学以上出た人の発症危険度は一般比47%

白澤卓二氏は1958年生まれ。順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。アンチエイジングの第一人者として著書やテレビ出演も多い白澤氏によると、アルツハイマー病の発症リスクと学歴には、大きな相関があるという。

* * *
アルツハイマー病は、高齢期における脳の変性疾患で、次第に学習機能や認知機能が低下し、最終的には寝たきり状態に陥り介護が必要となる。「ボケ」をもたらす代表的疾患だ。

アルツハイマー病の早期発見は難しく、脳の変性病変は進行性で未だに治療法が確立されていない。全世界で3390万人と推定されるアルツハイマー病の患者数は、人口の高齢化に伴い40年後には約3倍に増加すると予測されている。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校のデボラ・バーネス助教授とクリスティーネ・ヤッフェ教授はアルツハイマー病の発症要因の中には、喫煙など修正可能な危険因子が多数あることに注目、修正可能な7つの因子の影響を減らすことにより、 相当数のアルツハイマー病の発症を予防できると推論した。

バーネス博士らが注目した危険因子は、【1】喫煙、【2】低身体活動、【3】低教育水準、【4】中年期高血圧、【5】糖尿病、【6】中年期肥満、【7】うつの7つの危険因子だった。2010年に米国立衛生研究所が発表した「アルツハイマー病と認知症の危険因子に関する包括的なレビュー」を分析に用いた。

博士らの解析によると、これらの7つの因子が発症に関与していると考えられる患者数は世界レベルで1720万人(全患者数の約50%)。各因子別に見てみると、世界レベルでは低教育水準の影響が最も大きく(650万人)、リスクが倍になる。

一般の発症危険度に比べて、大学卒業以上の高等教育を受けた人は発症危険度が47%、職業的達成度の高い人は44%、IQの高い人は42%、知的好奇心を刺激する趣味をもつ人は50%も低かったのである。

※週刊ポスト2011年12月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン