巨人軍は本当に金満なのか?

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巨人軍は本当に金満なのか?

ペナントレースもいよいよ終盤に入り、パリーグの混戦をよそに、セリーグでは今日現在勝ち越しているチームが一位巨人と二位中日の2チームしかなく、その2チームでさえも6.0ゲームもの差がついており、優勝争いとは程遠い状況になっています。
プロ野球ファンとしては広島とヤクルトによる3位決定戦と、横浜DeNAが久しぶりに最下位を脱出できるかということでしか面白さを見出すことはできないのかもしれません。

先日、マジックも点灯し優勝が間近に迫ってきた読売巨人軍ですが、この記事を読んでいる方のなかには、生粋のアンチ巨人で、昨シーズンオフの大型補強も含めて面白くないと感じている方々も多いことでしょう。

そこで、12球団の親会社の年間売上高を調べてみました。

12球団の親会社の年間売上高

●東京読売巨人軍
読売新聞グループ
4553億4900万円

●中日ドラゴンズ
中日新聞社
1657億6700万円

●東京ヤクルトスワローズ
ヤクルト本社
3173億3500万円

●広島東洋カープ
親会社なし(創立者の松田一族が代々所有)

●阪神タイガース
阪急阪神ホールディングス
6387億7000万円

●横浜DeNAベイスターズ
DeNA
1127億円

●福岡ソフトバンクホークス
ソフトバンク
3兆46億4000万円

●埼玉西武ライオンズ
西武ホールディングス
4892億6700万円

●北海道日本ハムファイターズ
日本ハム
1兆323億円

●千葉ロッテマリーンズ
ロッテ
4244億円

●オリックス・バファローズ
オリックス
1兆1540億5400万円

以上を見ると、思いのほか読売や中日の売上高が低いように感じます。もちろん、親会社の売上高だけの単純比較は、ひとつの側面でしかないかも知れません。

12球団総年俸ランキング

1位阪神 37億3570万
2位巨人 35億8140万
3位中日 33億5510万
4位SB  31億1090万
5位日本ハム 25億3220万
6位西武 25億600万
7位ヤクルト 24億9560万
8位オリ 22億9760万
9位楽天 22億1780万
10位ロッテ 21億8320万
11位広島 19億3740万
12位横浜 19億180万

これを見るとわかるように、親会社の体力がイコールであるというわけではありません。広告費と割り切ってしまえば、露出度だけでなく、球団を所有するという価値は国内外でも強い影響力をもたらします。

例えば、ヤクルトであれば、主に健康食品を扱う業種になりますが、オフィスや自宅に聞いたこともない健康食品メーカーが訪問してくれば、当然門前払いになります。しかし、プロ野球球団を所有するメーカーであれば、それ以上の信用を得ることができ、すでに交渉のお膳立てができている状況を作り出していると言えます。

DeNAについても、その商法はご存知のとおり気軽に無形商材を販売するというもので、未成年者による購入トラブルもあり、これまで市民権を得るには至りませんでした。
それが、ある側面から見れば新聞社をはじめとする一流企業と肩を並べているわけですし、球団を所有することによるメリットは思いのほか大きなものがあるでしょう。海外におけるソーシャルゲームの現状はといえば、今年4月にはモバゲーの『神撃のバハムート』が北米で一位、今年7月にはライバルであるグリーがカナダでの拠点展開を発表しました。今後は、日本よりも市場規模が大きく、さらに規制の少ない海外に舞台を移していくことも予想され、その際、莫大な経費がかかり、さらに社会的信用が必要な球団経営をしているということは企業の体力を裏付けるものになります。
また、球場の集客戦略では、試合内容によってチケット代返金を求められる“アツいぜ! チケット”など、自虐的ともいえる様々なキャンペーンを打ち、それについてもアイデア集団であるという企業イメージを有効に伝える手段であったといえます。

ほかにも、イチローがいたオリックスは、球団参入時から10倍以上の売上げを実現しています。当時オリックスという企業を知っていた人は、ほとんどいなかったように思います。

巨人軍は本当に金満なのか?

さて、本題の「巨人軍は本当に金満なのか?」。そのことについて、ふれさせていただくと、金満ではないが使うときは気前よく使うという言い回しが適当かもしれません。

現在、球団単体で黒字経営にあるのは、巨人、阪神、広島、SB、西武であるといわれています。それ以外の球団については、赤字経営であることはもちろんですが、広告費の費用対効果を考えれば、大枚を叩いてまでも強くする必要がないのかもしれません。
それは、昨年の中日フロントや、かつての近鉄のフロントが「マンネリ化するから毎年優勝する必要はない」「優勝争いをしてギリギリ2位がもうかる」と言っていたことに裏付けられます。

反面、巨人はというと“強い球団”というブランドが確立されているため、ある意味では、強くすることに集中することができます。往年のファンや支持者が、唯一常勝を望んでいる球団であり、勝ち続けることがブランド力を維持させるという観点をもっているのでしょう。その大儀があればベテラン選手を冷遇したとしてもファンとの間で摩擦を起こさず、勝つことに集中できるといったメリットもあり、常に自然競争が発生している状況を作り出すこともできます。

昨年、震災直後の開幕戦の強行開催についても、黒字を維持しなくては強い球団が存続できないといった読売巨人軍ならではの葛藤があったのかも知れません。
先日、メジャーで活躍している上原投手が『Twitter』で「巨人だけが補強していることが問題」といった発言をしていました。結局のところ、その言葉が示すように、「あえて強くする必要がない」というのが他球団の本音なのかも知れません。それよりも、「広告塔となりうるスター選手の存在」が不可欠なのでしょう。

画像:flickr from Yahoo! miss miki <3's photostream 「Yomiuri Giants Game」 http://www.flickr.com/photos/mhashimoto/155439562/ ※この記事はガジェ通ウェブライターの「アゲジョ」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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